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競馬

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競馬ファンはもちろん、ウマ娘に夢中な人も楽しめる記事をまとめました!
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ミスターシービーの主戦・吉永正人は〝寡黙な男〟だった

 10月28日、快晴に恵まれた東京競馬場は10万人を超える人々の人いきれでムンムンとしていた。一時代を築いた、あのハイセイコー以来の活気がよみがえったようだった。大正12年に『帝室御賞典競走』の名称でスタート。昭和22年から『天皇賞競走』と改められた歴史と伝統を誇るビッグレースの90回目を見に、大勢のファンが繰り出してきたのだ。人々のお目当ては一頭のサラブレッド。その馬は昨年、シンザン以来、実に19年ぶりに四歳クラシックを全制覇(さつき賞、ダービー、菊花賞)し、〝三冠馬〟とな

GⅠがない日はウマを読もう【オススメ競馬ミステリー小説】

「先輩、これって読みました?」――競馬が好きすぎるのに競馬の現場記者ではない愛すべき後輩が,、競馬が好きすぎるのに競馬記者ではない私に年始に教えてくれた本が一気読みするぐらい面白かったのでペンを執りました。昨夏に当noteで3本ほど書いた「GⅠがない時期に〝競馬本〟なんかいかが?」に対して「勧められたから読んでみたけど良かったよ」「競馬の本もいいね」という声をいただいてすごく嬉しかったので、調子にのって続けてみます。だって、競馬は読んでも面白いんですもん。(文化部資料室・山崎

ピークアウト説があぶり出したキタサンブラックの強さとは アニメ「ウマ娘」最終話を「東スポ」で振り返る

 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season3」の最終話をご覧になった人は余韻に浸っていることかと思います。キタサンブラックの引退レースとなった2017年の有馬記念を「東スポ」で振り返ることで、その余韻を膨らませることができればと書かせていただきました。ネタバレありなので、まだ見ていない人は避けていただければ幸いです。(文化部資料室・山崎正義) 2017年有馬記念 アニメでも果敢にハナを奪ったキタサンブラック。史実でも他馬を引き連れて逃げ、先頭のまま直線を向きました。

白毛遺伝子が持つ特別な〝何か〟とは…科学の先に見えたロマン【夏のオススメ競馬本】

「GⅠがない時期に〝競馬本〟なんていかが?」と、前回、珠玉の小説を紹介させていただきました。今回は「馬券本」にしようかな、と思っていたのですが、競馬に関してリスペクトしている信頼できる後輩から「読みました?」と渡された本が興味深かったので紹介させていただきます。ネットなどでは賛否両論あるようですが、白か黒か、正しいか間違っているかではなく、競馬、特に血統に関する「ひとつの見方」として、「へ~」となる部分が多かったので。(文化部資料室・山崎正義) インブリードの誤解 血統――

競馬が分かる!小説の面白さも分かる!女性騎手がヒロインのオススメ本

 宝塚記念も終わり、中央競馬ファンの中には〝ひと休みモード〟に突入する人もいるかもしれません。しかし!GⅠがなくたって競馬は毎週あるし、夏競馬には夏競馬らしい面白さもあります。そしてもうひとつ、やや時間を持て余しているなら、こんな楽しみはいかがでしょう。それは…  読書  です。  競馬に関する本  読んでみませんか?  というわけで、普段はウマ娘に登場する競走馬の史実を書き倒している私が、夏の特別企画としてお届けします。決してウマ娘原稿の新作が煮詰まっているからで

伝説の〝競馬周辺雑記人〟!今こそ読みたい「かなざわいっせい」

 この時期になると「かなざわいっせい」さんのことを思い出します。古い競馬ファンにはおなじみ、別冊宝島の「競馬〇〇読本」シリーズや週刊競馬ブックの連載「八方破れ」における独特の文体と世界観で人気を博したライターさんです(本人はご自身のことを「競馬周辺雑記人」と称していました)。亡くなったのは2年前の3月5日。「東スポ」でも長年コラムを書いてくれて、私はその担当でしたから、名前を思い出すのは当然かもしれませんが、ちょうど先週「中山牝馬ステークス」があったことで、「そういえば、かな

「ウマ娘」のズッ友コンビ!ダイタクヘリオスとメジロパーマーの爆逃げを「東スポ」で振り返る

「ウマ娘」の爆逃げコンビといえば、ダイタクヘリオスとメジロパーマー。なぜコンビを組んでいるかといえば、現実世界でも同じレースで逃げまくり、大レースを盛り上げたことがあるからです。ともにGⅠを2つ勝った個性的な名馬の足跡をたどりつつ、2頭がともに走った1992年の3戦を「東スポ」で振り返りましょう。生まれた年は同じながら、血統も育ちも距離適性も、成長過程も全然違った2頭が出会うんですから、競馬はやっぱり面白いです。(文化部資料室・山崎正義) ダイタクヘリオス 先に頭角を現した

「ウマ娘」では信念のお嬢様!メジロマックイーンが乗り越えた血・事件・ライバル対決を「東スポ」で振り返る

 アニメ「ウマ娘」を観た後、私は現役時代よりメジロマックイーンのことが好きになりました。Season2の準主役、名家に生まれた落ち着いた物腰の令嬢として描かれていますが、時折見せる負けず嫌いな部分だったり、頑張り過ぎてしまう姿、そして芯の強さにハッとしたのです(天然ボケなのもカワイイですが)。改めて振り返れば、隙のない走りで競馬界を引っ張り続けたマックイーンにも、自分の置かれた立場を全うする信念がありました。何より、アニメ同様、めちゃくちゃ強いのですが、主人公とまではいかない

バクシン!バクシン!の猪突猛進ウマ娘!最強スプリンター・サクラバクシンオーを「東スポ」で振り返る

 今年のスプリンターズステークスはピクシーナイトが勝利。まだ3歳、これからもっと強くなりそうなニューチャンピオンが誕生しました。近年は絶対的王者の不在が続いていたので、彼が歴史的スプリンターになることを願いつつ、今週は、史上最強のスプリンターとして名高いサクラバクシンオーをご紹介しましょう。ゲーム「ウマ娘」のバクシンオーも、子供の頃からかけっこで「神速」と呼ばれ、「最速こそ最強」「圧倒的なスピードこそ勝利の秘訣」「あらゆるレースをスピードで制す」というキャラになっていますが、

「ウマ娘」好きオッサン記者が自社競馬サイトを試してみた(その1)

「ウマ娘」に登場するキャラクターの元となっているサラブレッドについて、今年の春から公開している〝東スポで振り返る〟シリーズも先週までで20本。おかげさまで多くの方々に読んでいただき、「いいね」やコメントの数々に日々、枕を濡らしております。素晴らしき名馬を今まで知らなかった人に知ってもらえる喜び、そして同じ時代を過ごした方々との記憶の共有…毎日が楽しいですし、過去の記事を掘り起こしてみると、自分の働く会社が競馬に対して本当にガチだったんだなと、改めて気付きました。  で、数週

ハッピーカムカムキレッキレ!「ウマ娘」の大吉娘マチカネフクキタルの1997年秋を「東スポ」で振り返る

 今週末は、ダービー馬・シャフリヤールが始動する菊花賞トライアルの神戸新聞杯(GⅡ)。過去にも数々の名馬が出走しており、三冠馬のディープインパクトやオルフェーヴル、コントレイルをはじめ、「ウマ娘」に登場するキャラではビワハヤヒデやゴールドシップも勝っているのですが、レースのインパクトで言えば、1997年のマチカネフクキタルが強烈でした。先日、実装されたばかりの縁起のいい名前のお馬さんを「東スポ」で振り返ってみましょう。いつも「長すぎる!」と怒られているので、今回は短め。サクッ

「ウマ娘」の生徒会長!七冠馬シンボリルドルフの帝道を「東スポ」で振り返る

「皇帝」と呼ばれたシンボリルドルフ。無敗の三冠馬になったのも、七冠を達成したのも、日本の競馬史上、この馬が初めてでした。「ウマ娘」のシンボリルドルフが「レースでの実力、政治力、人格はどれも飛び抜けている」というキャラ設定になっているように、実際のルドルフも隙のないレースぶりで、まさに崇高な存在。1980年代半ば、海外への夢も見させてくれた最強馬を「東スポ」で振り返りましょう。(文化部資料室・山崎正義) ルドルフの強さとは 古い競馬ファンが口にする「ルドルフこそが史上最強」説

「ウマ娘」では良家のお嬢様!ファンも振り回された不屈の名馬・キングヘイローのGⅠロードを「東スポ」で振り返る

「ウマ娘」ではプライドの高いお嬢様キャラになっているキングヘイロー。ちょっと不器用なところがカワイくて人気なんですが、現実のキングヘイローも、たくさんの人を振り回し、そしてたくさんの人に愛されました。クラシックではスペシャルウィーク、セイウンスカイとともに3強を形成するものの煮え切らず、グラスワンダーやエルコンドルパサーも含む同級生の中で、ツッコミどころの量はダントツ。でも、それがまた絶妙な味わいになった名馬でした。黄金世代、最後のワンピースを「東スポ」で振り返りましょう。

走らせるならどの名馬?「ウマ娘」にも登場するアイビスサマーダッシュと面白すぎる千直の歴史を「東スポ」で振り返る

伝えたい聞きたい ツインターボ師匠のnoteで力を使い果たし、短期放牧をいただいたのに、ごめんなさい。「ウマ娘」で大好きなマルゼンスキーを紹介しようと執筆を始めたのですが、最古参キャラ(1970年代!)なので資料発掘が困難を極めた上に、ウラが取れない(確証が得られない)事象もあり、結局、完成に至りませんでした。というわけで、急いで何か書けないものかと、今朝からネタを探してみたところ、今週末はアレなんですね!  まず競馬初心者の皆さん、「ウマ娘」で「アイビスサマーダッシュ」と