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【カタールW杯】遠藤航がピッチで「最適解」を見つけてくれるはず!!

カタールW杯が始まった。開幕まではイマイチ盛り上がりに欠けているような気もしたが、そこはやはりW杯。母国の誇りを背負いピッチを走り回る選手を目にすると、血が沸き立つような興奮を思い出す。もしも我らが日本代表が初戦でドイツに勝つことができたなら、ボルテージは一気に上がるに違いない。決戦の前に、今月7日に発売されたばかりの日本代表MF遠藤航の『DUEL 世界に勝つために「最適解」を探し続けろ』を読了した。(東スポnote編集長・森中航)

トレーニング中に険しい表情の遠藤(22年11月、ドーハ、カメラ=平田一弘)

子育てとサッカーの共通点

遠藤は冷静だった。サッカー選手が夢見る舞台を目の前にし、さぞ意気衝天なのかと思いきや、この本は意外すぎる話題から始まる。

僕には子どもが4人いる。
一番下の子はいま3歳なので、僕にとっては4回目の「3歳児の子育て」中だ。はじめて「父親」になったのが20歳のときだから、「父親歴」はまあまああるほうだ。
加えて、仕事であるサッカー選手は、平日に練習があるけど、午前で終わることも多く、子育て時間は一日の半分近くあって、さらにいえば、歳の離れた妹がいる僕は、小さいころからおむつ替えをやっていたし、なんとなく「子どもの面倒を見る」ことに慣れていた。
若くして父親になったとき、「自分ならできる」という妙な自信を持っていたくらい。

だけど……いまでもふとしたときに思う。……子育ては難しい。

遠藤航『DUEL 世界に勝つために「最適解」を探し続けろ』(日本ビジネスプレス、2022年、3ページ)

サッカー選手が書いた本でこんな「はじめに」はあっただろうか。驚きすぎて思わず表紙を二度見してしまった。でも、ここからの〝パス〟が面白い。遠藤は子育てを重ねていくうちに「こうすれば必ずこうなる」みたいな「正解」がないことに気づいたという。そして遠藤自身、海外でプレーするうちに「サッカーにも正解がない」という価値観を持つに至り、サッカーと子育てが、正解がないからこそ「最適解」を探すという点においてシンクロしているのだ。この本には「最適解」にたどり着くまでのあらゆる過程が書かれている。

W杯の季節はサッカー関連本も面白いですね

日本代表に「戦術がない」ワケではない

たとえば、日本のサッカーを語るときによく言われるのが「戦術が足りない」ということ。デュエルに定評のある遠藤はぬかりなくこの点も潰していく。

そこで見えてきたのが、「戦術はあるんだけど選択肢が少ない、うまく引き出せていない」。そして、「特に前への戦術が整理されていない」と言うことです。
これが、僕が感じる具体的な「日本サッカー」と「ヨーロッパサッカー」の違いでした。

遠藤航『DUEL 世界に勝つために「最適解」を探し続けろ』(日本ビジネスプレス、2022年、86ページ)

「戦術」の引き出しを増やすとき、絶対に欠かせないのが「前へ」という考え方です。
この視点を持たず、「戦術がない」とか「戦術があった」と批評をしていても、日本のサッカーは前進しないと思います。
選手は、いろんな経験をし、学び、落とし込んだうえで「引き出し」を作ります。そして「引き出し」を持つだけではなくて、適切に「引き出し」を選び、ピッチで表現できる選手を育てることも大切です。

遠藤航『DUEL 世界に勝つために「最適解」を探し続けろ』(日本ビジネスプレス、2022年、93ページ)

「筋肉をつけたらスピードが落ちる」といったトレーニングの俗説も疑う。遠藤は筋肉をつけながらスピードを上げるためにパーソナルトレーナーを探し出した。2020―21シーズンから試合中に遠藤が着用しているマウスピースもそう。当初は1対1でコンタクトを取るときにグッと踏ん張る力が強くなると思っていたが、「奥歯で踏ん張らないこと」と「適度に口が開くこと」をポイントにした特注のマウスピースはあごまわりをリラックスさせ効果的にパワーを使うためのものだという。「柔よく剛を制す」ということかもしれない。

遠藤が輝く時が来た!(22年11月、ドーハ、カメラ=平田一弘)

念願のピッチに立ち躍動せよ

遠藤のW杯出場は2回目。だが、2018年のロシアW杯では出場時間を得られずに終わった。その意味でもピッチに立つことに誰よりも飢えていることは想像に難くない。今月8日のブンデスリーガ、ヘルタ・ベルリン戦で相手選手と頭同士がぶつかり、脳震盪を起こしたが、無事に回復してほぼ順調な状態でピッチに立てそうだ。

ドイツ戦に負けても勝っても、遠藤という男は必ず「最適解」を見つけるに違いない。だからこそ一喜一憂せずに日本代表のカタールW杯を見届けるつもりだ。頼んだぞ遠藤!  (文中敬称略)

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