「いくつになっても『青春』なんだという気持ち」【小橋建太連載#11・最終回】
東スポnoteでは、プロレス界の鉄人・小橋建太が引退から10年を迎えたことをきっかけに2013年に紙面連載された「鉄人の告白」を復刻してきました。最終回では〝現在の小橋建太〟に独占インタビューし、変わらぬ「青春」への熱い思いを大いに語ってもらいました。さらに小橋と35年付き合ってきたベテラン記者が今だから明かせる〝5か月戦争〟を含め、5000字超の壮大なあとがきを執筆。「最高のプロレスラー」の熱さをとことんお楽しみください。
2023年、小橋建太インタビュー
今、日本の女子プロレスのレベルはとてつもなく高い
――あっという間の10年でした。引退試合が昨日のようです
小橋建太(以下小橋) 10年ひと昔というじゃないですか。でも時代のサイクルは10年前と比べて、一気に速くなっている。でもいろんな事がありながら10年という区切りを迎えられた。うれしい限りだし、幸せですよ。
――現役時代は肉体的にも精神的にも辛いことのほうが多かったのでは
小橋 いや、辛くはなかったですよ。ケガは多かったし試合内容もハードだったけど、それを乗り越えてファンと喜びを分かち合う幸せがあった。その共有感はね、今でも変わらないですよ。みんなに感謝してます。
――引退した翌年から自主興行「Fortune Dream」をスタートさせた
小橋 14年だけ年2回であとは年1回のペースです。常に新しく、話題になるカードを出したいなと思って試合を組んでいます。そこは本当に頭を使ってますよ。
――現役時代の小橋選手には考えられない発想だと思うのですが、女子選手が1回目(14年6月8日後楽園)から登場している。2回目(同年12月10日後楽園)なんか里村明衣子(センダイガールズ)と当時スターダムの宝城カイリ(WWEではカイリ・セイン、現在はKAIRI=フリー)のシングルですからね
小橋 必然的にそうなったんですけど、今考えても豪華なカードだよね。
――2人ともその後はWWEに行って里村はNXT・UK女子王者、カイリは女帝アスカとのカブキ・ウォリアーズでWWE女子タッグ王者に大出世したし、先見の明があったんでしょうね。
小橋 いや、絶対にジョニー・エース(全日本時代の盟友で現在WWE幹部)がチェックしてるはずだ。あの男は絶対に俺の興行を見てますよ(笑い)。
――「コバシの大会を見て参考にするか、あの男の眼力には間違いないだろう。フフフ…」というジョニーの声が聞こえてきそうです。第5回大会(18年6月11日後楽園)は、当時スターダムの紫雷イオ選手も出て、直後の6月30日にはWWE入団を発表。現在はイヨ・スカイとして大活躍。今年7月にはロンドンで日本人2人目の「ミス・マネー・イン・ザ・バンク」に輝いている。やっぱり犯人はジョニーですかね…
小橋 まあ、それは冗談としても今は日本の女子選手のレベルはとてつもなく高いですから。どんなカードが組めるのかなと考えた時、この先も楽しみですよ。
――直近の第8回大会(23年6月14日後楽園)は初めて男女混合マッチも実現してます。あれは驚いた…
小橋 時代の変化もあるし、今回の大会の5日前には「All Together」(6月9日両国国技館)とは違う形にしたかった。KAIRI選手は僕が直接電話して出場をお願いしたんですが、快諾してくれた。そしたら対戦相手にウナギ・サヤカ選手が釣れました(笑い)。ウナギ選手はフットワークの軽いとてもいい選手。KAIRI選手も実績は申し分ありませんしね。橋本千紘選手と優宇選手の「チーム200キロ」もとんでもないチーム。そうしたら…。
――プロレス界の王様こと鈴木みのる選手からご指名が入ったと
小橋 本当に驚いたけどね。パートナーの問題が心配だったけど(DDTの秋山)準が出てくれた。試合も抜群に面白かったしね。ちょっと見られないカードだったよね。
――橋本選手に加勢してみのる選手に久々に逆水平チョップも見舞って観客の溜飲も下げた。あの威力ならそろそろ復帰も…
小橋 ほら、また始まった(苦笑)。復帰は120%ありませんよ。
――全8回の大会は平均1500人でいずれも超満員。引退した選手の自主興行では、ほとんど前例がない。男子選手も各団体のエース級がメインを飾っているが、今後出てほしい女子団体は
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