ハッスルとは「再現できないジグソー・パズル」なのかもしれない【ハッスル連載#5・最終回+α】
【編集部から】東スポnote限定コンテンツ「ハッスルとは何だったのか」はおかげさまで大変好評をいただいております。最終回は「解説者を務めた平塚記者が選ぶ名勝負ベスト5」もついた圧巻の7000字。期待を裏切ることはありませんので、ぜひご購入いただき最後までお楽しみください。
「天龍引退か」書いた記者は天龍に殴られ「引退など百年先だな…」と涙目で痛感した
とにかくインリン様最後の大会となる「ハッスル・エイド2008」(5月24日有明コロシアム)のゴングは鳴らされた。愛息とのファイナルマッチに臨むや、攻撃をためらうボノに「私を超えてみなさい。今こそハッスルするのよ!」とゲキを飛ばすと、ボノは涙声を上げながらランニングボディープレスでママの3年半のプロレス人生にピリオドを打った。
試合後は抱き合って涙、また涙…。インリン様は目を閉じて昇天した。また新エースの坂田亘は腰を負傷させられたボブ・サップにようやく一矢報いた。
その後、運営サイドは「ハッスルGP2008」と題した16選手参加のハッスル最強決定トーナメント(7月6日福岡で開幕)の開催を決定。1回戦では天龍源一郎とボノの一騎打ちというハッスルでも前例のない超ド級のヘビー級黄金カードが行われ、ボノがスプラッシュ弾で勝利した。
この試合のあとにサムライ・越中詩郎の初参戦もシリーズを盛り上げた。まさかの連敗を目撃し「天龍引退か」と書いた記者は天龍に殴られ「引退など百年先だな…」と顔面を押さえつつ、涙目で痛感した。7月にはナンバーシリーズとハウスシリーズを統合したハッスルシリーズがスタート。地方大会の拡大を狙いつつ、イベントも増やすなど新たな試みに打って出る。この時点でまだ満員状態は続いていた。
結局、GP決勝戦(10月26日宇都宮)はモンスターKこと川田利明が地元のファンの前で大ハッスルして坂田を入魂のパワーボムで撃破。新エースを下して、〝デンジャラスK〟健在を証明した。
この日は年末のビックイベント「ハッスル・マニア2008」(12月30日有明コロシアム)の開催が正式発表された。さらに翌31日にテレビ東京系列で放送されることも決まった。前年大みそかのマニアは視聴率4%を記録しているだけに、ハッスルにとっては正念場となるビッグマッチ開催となった。
勝負をかけた大一番に向け、恒例となった芸能人プロレスデビュー戦には、当時、元夫の春風亭小朝を「金髪豚野郎」と罵倒する「脅迫メール騒動」でマスコミをにぎわせていた〝お騒がせ歌手〟泰葉の参戦が決定。インリン様、レイザーラモンHG、和泉元彌、カイヤ、大食い王ことジャイアント臼田に続く有名タレントの起用にイベントの命運を託した。泰葉は参戦決定後も裁判騒動を起こし、いい意味でも悪い意味でもマニアの広告塔となった。その後、会場のCD売り場を破壊したアン・ジョー司令長官との遺恨が勃発。マニアでの対戦が決まった。
さらには魔界の住人ことグレート・ムタの参戦が決定。愛息ボノと約1年ぶりにタッグを組むことが決まった。相手はGP覇者の川田と川田の父親(もちろん本物ではない)という異色の〝親子対決〟がメインカードとなった。
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