起用法で不満を言ったこともあるけど、仰木さんほど器の大きい人はいなかった!【野田浩司連載#6】
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起用法で不満を言ったこともあるけど、仰木さんほど器の大きい人はいなかった!【野田浩司連載#6】

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96年の日本一達成後、山田コーチが退団してチームに変化が…

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すべてを寛容に受け止めてくれた仰木監督には感謝してもしきれない

 1996年の巨人との日本シリーズ。今度こそ、の気持ちなんだけど、僕は右ヒジが痛くてねえ。3戦目に先発したけど、ごまかしながらのピッチングですよ。初戦にイチローの決勝弾で勝ってから勢いがついたし、2戦目はウイリー・フレーザーが7回途中まで2安打無失点の好投で連勝。「去年とは違うぞ、いける」って感じだった。僕は130キロ出ていなかったけど、何とか投げられた。序盤で5点の援護があったし、ブルペンにも入った95年と違ってこの試合だけが自分の仕事でしたから。なんとか間に合わせたという感じでしたね。

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巨人との日本シリーズ第3戦で先発し、7回途中2失点と好投した野田

 3連勝して一気に王手となった時、これまた仰木彬監督らしいことがあったんです。4戦目の先発を決めていなかった。誰が行くかわからない。星野伸之さんは初戦と第5戦だし、豊田次郎、金田政彦、長谷川滋利のいずれかだった。でも、誰も何も言われていなくて、当日になって2年目の豊田が言われたんです。

 長谷川はこの年、あまりよくなくて二軍落ちとかもあった。でも、普通に考えれば長谷川でしょ。そりゃキレてましたよね。信頼はあんまりなかったのかもしれないですね。当日まで先発を決めていないなんてありえない。勢いでいけるぞって感じでしょうね。

 山田久志投手コーチは投手のこだわりというものをめちゃくちゃ大事にしていた人。投手の美学を持っていて、それを僕らにも味わわせてやりたい、という思いの人でした。だから第4戦の先発が当日まで決まらないなんて、ありえない話だったと思いますね。結局、その試合を落とし、次の第5戦で優勝を決めたんです。日本一の満足感はありますが、初戦の勢いのまま突っ走って、わりとあっさり決まりました。

日本シリーズ、オリックス優勝で胴上げされる仰木監督、手前に野田(96年10月、GS神戸)

(上)日本シリーズを制して胴上げされる仰木監督
(下)仰木監督と山田久志投手コーチ(どちらも96年10月、GS神戸)

仰木監督(右)と山田久志コーチ(96年10月、GS神戸)

 その山田さんは日本シリーズ後に退団されました。みんな「まじか!」って。めちゃショックでしたよ。仰木監督とは微妙な関係だったとは思うけど、僕らにはそれを見せたことはなかった。だから「ああ、やっぱりいろいろあったんやな…」と思いました。山口高志投手コーチがそのまま残ってくれることになったんだけど、やっぱり94年から山田さんの存在というのがあった。95、96年の連覇につながったし、大きかったですね。ただ、みんな日本一になったことで「誰がコーチになっても大丈夫」という自信は持っていましたよ。

左から佐竹学、仰木監督、谷佳知(97年、千葉マリン)

左から佐竹学、仰木監督、谷佳知(97年、千葉マリン)

 でもね。やっぱり97年になってくると山田さんの大きさが改めてわかってくる。その年は明らかにチームがおかしくなってきた。福良(淳一)さんが使われなくなり、本西厚博さんがシーズン中に阪神にトレードでいなくなった。代わりにルーキーの塩崎真、佐竹学谷佳知がスタメンで起用されるようになった。僕は起用法に我慢できず、ついに仰木監督の部屋を叩いて…。

仰木監督の起用法に我慢できなくなりホテルの部屋に!

 1997年になると仰木彬監督は継投が早くなって、僕も何度も同点で代えられるようになった。ある日の東京ドームの試合後の宿舎、僕はたまらず監督の部屋に行ったんです。「何であんなところで代えるんですか」と。その時にFA権を持っていたし「こんなんだったら、もう投げられませんよ」とまで言った。すると監督は「俺には俺の選手起用がある。それがなかったら95、96年と優勝できていない。監督というのは自分の中の自信でやっているんや。お前らのおかげで優勝はできたけど、そこには俺の采配がある。お前の気持ちはくむけど、そこは目をつむってやれ。それしかない」と。納得できたというか、させられました。

 連覇していたし、それを支えてきたという気持ち、自分のプライドもあった。1―1とか同点で代えられるのが一番ショックなんですよ。しかも早い回に…。その日の日本ハム戦も同点で、まだ6回。球数もいっていないし、三振も取れていたのに…。そういうケースが何度も続いていたし、限界に来ていたんですね。

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雰囲気がおかしくなってきた97年。起用法にも不満を感じ始めていた

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