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野球を教える楽しみ「今の子は柔軟に野球を考えている」【礒部公一連載#7・最終回】

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三木谷オーナーが現場に意見。首脳陣は困惑したけど…

日本一を達成し胴上げされる星野監督を背に喜びを爆発させるナイン(13年11月3日、仙台)

日本一を達成し星野監督を胴上げする楽天ナイン(13年11月、仙台)

 楽天は2011年の東日本大震災を乗り越え、13年に球団創設9年目で日本一を達成できた。田中将大(ヤンキース)をはじめ、いい選手が揃っていたし、星野仙一監督が就任3年目で「戦う集団」にしてくれたと思います。勝つことというのが一番足りない部分でしたから。夏くらいまで首位争いして、そこから連勝で引き離していった。僕は二軍コーチだったから第三者的な目でしか見れなかったけど、これはいけるな、と思いましたよ。

楽天優勝パレードで田中将(13年11月24日、仙台市内)

優勝パレードで笑顔を見せた田中将(13年11月・仙台市内)

 でも、翌年から田中のメジャー移籍もあってチームが苦戦。星野さんが体調不良で休養することになり、佐藤義則投手コーチ大久保博元二軍監督が監督代行を務めることになった。そのころから三木谷浩史オーナーからのいろんな「相談」が現場に来るようになって…。再編問題からプロ野球に参入されて、新しい風をもたらしてきた方。昔だったらオーナーの考えとかは球団社長や代表が止めたりして現場までは下りてこないのが普通だと思うんですけど、それも最近のやり方というかね。

マウンドの辛島航に話しかける佐藤義則監督代行(左=14年5月、東京ドーム) 

マウンドの辛島航投手に話しかける佐藤義則監督代行(14年5月・東京D)

 野村克也監督、星野監督のときは大監督でもあるし、直接会って話をされていたとは思います。でも現場にまで言うことはあまりなかった。星野さんが腰痛で休養され、デーブさん(大久保監督代行)のときくらいから多かったんじゃないですかね。僕も6月に配置転換で二軍コーチから一軍の外野守備走塁コーチになったとき、会社から「こういう理由でこうなった」という説明がありましたよ。

 オーナーの方から「この選手を使えばいいんじゃないか」という話が来たら「こういう理由でこの選手を使っています」というのをプロの目から説明したり…。でもオーナーが言っているからしょうがないという雰囲気ももちろんある。当時は“現場介入”とかって報じられましたけど、勝ちたい気持ちはオーナーだって同じだし、チームをよくしようと思って言われている気持ちはわかりますよ。

球場を視察に訪れた三木谷オーナー(右)と星野監督、ナイン(ベンチ右=13年7月、東京ドーム)

球場を視察に訪れた三木谷オーナー(13年7月・東京D)

 三木谷さんは僕らが取り組んでいた球界再編問題で、12球団存続の救世主のような人だったので、プレーするなかで感謝をしていました。現場に対して素直な意見を言われるので難しいところもあったけど、アンドリュー・ジョーンズのようなメジャーリーガーやドラフト含め、補強面でチームを強くしようとしてくれた。サッカーの今のヴィッセル神戸も補強がすごいですもんね。

 創設時は整備面でも現場の意見を聞いてくれ、スピード感を持って対応してくれたし、新しいことを取り入れながら球団運営をされていたと思います。オーナー会議でも今までにないような考えを話されていますよね。グラウンドも頻繁に来られていたし、昔の時代のオーナーと比べると現場に近い存在でした。僕は近鉄、楽天の2球団だけだったけど、いろんな監督、オーナーと携われてよかったと思います。

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2014年7月から監督代行を務めた大久保博元氏

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