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【プロ野球】「野球バカとハサミは使いよう」山田隆道著

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“球春到来”に合わせ、2012~13年にかけて東スポ紙面連載された往年のプロ野球選手から処世術を学ぶコラムを復刻します。選手のエピソードから導かれる教訓は日々の生活に役立つこと間…
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現役の最後には、若いころの忘れ物を取りに行こう!【野球バカとハサミは使いよう#28】

「メジャーに最も近い男」と評された佐々木誠 かつての日本球界にとって、MLBははるか遠い存在だった。1995年に野茂英雄が日本人メジャーの門戸を開いたわけだが、それ以前の日本人選手はたとえメジャーで活躍できる能力があったとしても、それを実現する術をもたなかった。  なかでも、80~90年代の南海・ダイエーなどで活躍した左打ちの外野手・佐々木誠は特にそうだった。92年に首位打者を獲得した巧みな打撃はパンチ力も兼ね備えており、92年と94年には盗塁王も獲得した俊足の持ち主。さら

交渉事で精神的に優位に立つために…【野球バカとハサミは使いよう#22】

腕の筋肉を見せつけ相手投手を威嚇 仕事をしていると、様々な交渉事に挑まねばならない。その際、できるだけ交渉相手より精神的に優位に立ちたいと思うのは当然の心理だ。大きな商談になればなるほど、相手に足元を見られたら終わりである。  これはプロ野球における打者と投手の心理戦にも言えることだ。たとえば無名の新人打者が豊富な実績を誇るベテランの大投手と対峙すると、新人打者はバットを構えているだけで萎縮してしまうケースがある。大投手が発する威圧的なオーラにのみ込まれ、自分のスイングがで

自信家とは根拠が“ある”から美しいのだ【野球バカとハサミは使いよう#19】

一芸に勝るものなし 昨年(※注2012年)、2リーグ制以降のプロ野球において、史上初となる規定打席未到達の本塁打王が誕生した。ヤクルトの外国人、バレンティンである。彼は典型的な一発屋で、昨年の安打数はわずか96本ながら、その約3分の1である31本が本塁打という驚異的なパワーを見せつけた。  そして、そんな一発屋といえば、1987年に広島に入団した外国人、ランスを思い出す。豊かなヒゲを蓄えた牧師のような風貌が印象的な左打者だった。  ランスの打撃の特徴は、あまりに極端なプル

くすぶっているかもしれない…と思ったときに読んでみて【野球バカとハサミは使いよう#13】

相次ぐ転向で生まれた遅咲きのスター 例えば、ある会社に入って数年がたつというのに、なかなか能力を発揮できず、くすぶっている人がいたとする。そんなときは、かつてのヤクルトの主砲・杉浦享に学べばいい。  杉浦といえば1970~90年代にかけて活躍した左の長距離砲。プロ22年間で通算224本塁打を記録したが、そんな彼も入団当初はなかなか能力を発揮できなかった。何しろ杉浦はもともと投手として入団しており、それでは芽が出る気配がなかったため早々と野手に転向した選手だったのだ。  も