武藤敬司が語る小橋建太&前田日明【スーパースター烈伝#8】
九スポ(九州スポーツ)でしか紙面掲載されなかった好評企画がnoteで復活! プロレスリングマスター・武藤敬司が鉄人こと小橋建太を語るとどうなるのでしょうか? そして昭和プロレスの伝説として今なお語られる「新日本プロレス旅館破壊事件」で大乱闘した相手でもある格闘王こと前田日明が登場です。(運動二部・前田聡)
同じオレンジタイツでも〝対極〟のムーンサルト!
お互いよく話すようになったのは、彼が引退してからだね。東京スポーツ新聞社主催の東日本大震災復興支援チャリティー大会「ALL TOGETHER」で(タッグを組んで)少し接点は生まれたものの、彼が引退してから何かとイベントとかトークショーをやったりして。
若手だったころの印象? ほとんどないよ。でも四国のどこかの県に行ったら、そこは当時(全日本プロレスを中継していた)日本テレビ系列しか流れてなくて、俺がムーンサルトをやったら「あ! 小橋のマネした!」とか言われたよ(笑い)。
実際、当時はそんなに試合を見なかったね。若干、向こうの方が若いしデビューも俺の方が早いっていうのもあって、どうしても三沢(光晴=故人)を通して見ちゃったよ。比較対象っていったら、俺の中で三沢の次は川田(利明)だったからさ。ただ、偶然にも同じオレンジのタイツをはいたり、ムーンサルトを使ったり、そういう部分で比較されたよね。
小橋のムーンサルトより、俺の方がカッコいいと思ってたかって? そりゃそうだよ(笑い)。それでアメリカを渡り歩いて生きていたんだから。まあ、結果的にお互いヒザを壊したよな(笑い)。
堅物の鉄人はとにかく「クソ真面目だな」
初めてリング上で会ったのは、2009年の三沢光晴追悼試合。その時は、あんまり深く掘り下げて見つめてはいなかったよね。あくまでも一過性の試合で、そこから何かを生むとか、そういう時じゃなかったから。ただ組んだ時に力はあったし、育ちの違いは感じたね。
性格もプロレスのスタイルも、とにかく真面目ですよ。イベントとかで接点が増えれば増えるほど「こいつ堅物でクソ真面目だな」って思うから(笑い)。そういうのがプロレスにも表れている感じがするよね。そしてそこがファンに評価されている一番のところじゃないかと思うよ。俺たち(闘魂)三銃士は全員人間がふざけてるもん、本当に(苦笑い)。
会うたびに毎回毎回「俺と違う人種だなぁ」と感じますよ。そこが評価されてるから、引退してからもイベントやったりして長い間付き合っているお客様たちがいるんだろうね。引退試合のこともよく覚えてますよ。試合後、全選手リングに上がることになってたんだけど、俺はすぐ帰ったんだよ。試合後に馳浩先生に食事に誘われてたから。野田(佳彦)元総理もいる食事会で。そしたら小橋、怒ってたなぁ。
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