名古屋まであっという間!話題の「新幹線プロレス」に自腹で乗ってきた
まさか本当にあの弁当を召し上がっていただけるとは。まさか持参したタオルで汗を拭っていただけるとは…。
選手からサクラだと疑われるほど超超超うっきうきドラマチック浮かれモードで「のぞみ371号」に乗車した私のミラクル体験記をお届けします。あらかじめ申し上げておきますが、私は東スポのプロレス担当記者ではありません。ガチのDDTファンです。普段は整理記者というレイアウトの仕事をしていますが、そんなことより今日だけは「新幹線プロレス」を語らせてください!
75分の1のチケット争奪戦を勝ち抜き東京駅へ
2023年9月18日敬老の日。12時を過ぎた頃から、東京駅14番線ホームの16号車付近には夢見る大人たちが集まっていた。目的は史上初の「新幹線プロレス」。発売30分で完売したというチケット争奪戦を勝ち抜いた75人だけが現地観戦できたのだが、筆者は75分の1だった。DDTファンとして高木大社長の勇姿を目に焼き付けたい一心で、炎天下の中スマホを必死で操作したのが8月10日。DDTの公式YouTubeではルールミーティングも行われ、あっという間に当日を迎えた。
事前にDDT試合会場の売店で購入した新幹線プロレスグッズを携えて、最寄りの崎陽軒でシウマイ弁当を入手してから東京駅へ。
指定の場所で切符を受け取り、ホームへ向かうとJR東海やDDT、メディア関係者の姿があった。JR東海関係者と思われるスーツ姿の方々の特に明るく充実した表情が印象に残っている。乗車する「のぞみ371号」が入線すると早くもシャッターの嵐。このあたりからDDT公式X(旧ツイッター)に動画もアップされ始め、いよいよという雰囲気が出てきた。
車内清掃が終わり順序良く乗り込むと8列目と9列目が境目となって全座席が中央向きになっていた。そして筆者の切符に記された座席は…ほぼ中央!しかも通路側!こんなラッキーがあっていいの!?と出発前からパニック状態だった。
品川駅から高木三四郎、新横浜駅から鈴木みのるが〝乗車〟
DDTのリングアナウンサー、井上マイク氏が注意事項などの案内を進めているタイミングでのぞみが出発。「あれ、選手は?」というざわつきを察したのか、「途中駅から乗り込みます」と一言。
その言葉通り、品川駅のホームには1人たたずむ高木三四郎選手の姿が!車内に歓声と笑いがおこる中、入場曲が鳴り始めて高木選手リングイン!
しかし鈴木みのる選手の姿はなく、新横浜駅までソロ活動を強いられることに。新幹線プロレスTシャツを脱ぎ捨て「アップしとくか」と腕立て伏せを数回行った後は所在なげな様子でうろうろ彷徨っていた。シュールだった。
貸し切り車両でも新幹線の車内アナウンスは通常通り。新横浜が近づくと皆が色めき立ち、入場曲、中村あゆみの「風になれ」とともにみのる選手が登場した。早速、乗客をバックに自撮り。初めて間近で見たみのる選手は愛らしい表情をしていた。
松井レフェリーのボディーチェックを済ませて、破損のないよう念を押されて、ついにゴング!
ここからはぜひ映像も見ていただきたい。
※新幹線プロレスがPPV(3,000円)が視聴できるのは10月9日まで
距離感もはやゼロ!のプロレスに大興奮
客席からの距離感はもはやゼロ。高木選手いわく「結構揺れる」車内で攻防が繰り広げられ、両選手ともに気付けば汗だく。縦横無尽とはいかないが、前方に後方に移動しつつビンタを見舞えば汗が降り注ぎ、技を受けた選手の足が!臀部が!!背中が!!!すぐココに迫ってくる。
普段は後方席から観戦し、コロナ禍にファンになった身としては「接触絶対ダメ!」の意識がある。選手に触れないように避けたいが、お隣さんにも迷惑はかけられない。誰にも触れないよう、人のカメラの邪魔にならぬよう首からつま先まで力を込めた。大迫力のプロレスを全身で観戦しながらスマホで撮影しながら肉眼でも見るという忙しさが続く。
高木三四郎VS鈴木みのるといえば(?)サプライズ選手投入だ。
先に助っ人を召還したのは高木選手。声かけを受けて流れた曲に「!!!!!」となったのも束の間、筆者イチオシの若手ロン毛大学生レスラー、正田壮史選手が気合い十分な顔で16号車にやってきた!ひゃっほー!もう発狂なんてもんじゃない!筆者の膝には正田壮史タオルがスタンバイされていたのだ!初めて購入した男子選手のタオルだ!しかもその正田選手が向かっていく相手はみのる選手!新幹線で初顔合わせだなんて運命!ヤバいしか言葉が出てこなかった…。ここで少し〝推し〟の正田壮史選手の説明を!
正田選手のエルボーを何発受けても微動だにしないみのる選手の目線が筆者の膝に。正田タオルに気付くと「何で持ってんだよー」と言いつつ手に取り汗を拭った…!きゃー!と思った次の瞬間、正田選手の目の前で正田タオルを新幹線の床に叩きつけてグリグリと踏みつけていた!ぎゃぎゃぎゃー!である。みのる選手が使ってくださるなんて想定外だった。
前夜に荷造りをしながら、DDTの試合で必ず持参する赤井沙希選手のタオルを手にして筆者は考えた。新幹線のシートを汗で汚しちゃいけないんだったなぁ。こまめに汗拭くかなぁ。高木さんに使ってもらうチャンスでは? ここのところ出番なくクローゼットに眠っていた正田タオル。念のためにおい確認…OK。そんなわけで膝の上でスタンバイしていた。
正田選手本人のサプライズ登場にみのる選手の過剰ファンサで発狂していたとはいえ、踏まれたタオルで我に返る。衛生面を考えたが片付けることができず、改めて膝の上に。その後は高木選手に「何で俺のタオルじゃないんだよー」と肩身の狭くなるお言葉をかけられた。大変失礼致しました。今度会場で買います。アクスタも買います。買って持ち歩きます。会社でも飾ります(正田アクスタは2つ持っている。ひとつはサイン入り)。
正田選手を召還した高木選手に対して、みのる選手が「出てこい!俺のカプセル怪獣1号」(うろ覚え)と叫ぶと、童貞を殺すセーターを着た〝変態〟こと佐藤光留選手が現れた。まだ光留選手の試合を生観戦したことないのに今かよ!と思いつつひたすら変態を撮りまくる。
悲鳴と歓声が響く中、これまたまさかの高木&正田vsみのる&光留が始まった。しかし車内の前方と後方に分かれでしまい目玉が足りない状況に。体を限界まで捻って正田vs光留に目をやるとフェロモンいっぱいな光景が展開されていた。光留選手が床に転がり足を大きく広げ、正田選手は戸惑いの表情を見せつつも得意の蹴りを見舞う!効かない!捕まった!あぁぁぁ…。詳しくは死角になって見えないが、正田選手はどこかを攻められているようだった。
変態退治に失敗した正田選手。悲しいかな一旦出番が終わった。
車内は再び高木vsみのる。ようやく落ち着いてプロレスを見られる…なんてことはなかった。
ほぼ裸エプロンの男色ディーノ選手、フルコスチュームの秋山準選手、村上和成選手が入れ替わり立ち替わりやってくる16号車に休まる時間など与えられない。
ディーノ選手が持って来たスゴイカタイアイスを「やっぱバニラだな」と言いながら食べるみのる選手の少年感。ディーノ選手のリップロックを受けてしまったみのる選手のこの世の終わり感。メカマミーのロケットパンチで秋山選手に立ち向かうみのる選手のメカマミー感。村上選手に対抗するみのる選手の…あれれ、高木選手を見てないな。おかしいな。
すっかりみのる選手に夢中になっていた。これが16号車の魔力か。
私のシウマイ弁当をみのる選手が食べたーーー!
さてさて、いろんな汗をかいたであろう、みのる選手と高木選手が互いにタオルで体を拭く眼福タイム到来。しかし高木選手がタオルでみのる選手の首を締めて空気一変。怒ったみのる選手で手を伸ばしたのが、筆者の膝の上に勝手にスタンバイしていたシウマイ弁当!ついに役立つ時がやってきた!
ぜひ凶器に使ってくだされ!とワクワクしたが、みのる選手はお弁当の蓋を筆者の膝に置き、箸を割り、ご飯とシウマイを頬張る。食べ歩き、ひじ掛けに腰掛けて、大きなひと口で食べ進める様子は高校生だった。高木選手がお茶もどうぞと渡したのは350ミリリットルの玄米茶。未開封のままにしていた自分グッジョブ。ちなみに、凶器になれなかったシウマイ弁当の行方は…わからない。
〝鉄人車掌〟の登場で盛り上がりは最高潮
もはやどのエリアを走行しているのかもわからない中、立派すぎる体格の車掌がやってきた。小橋健太氏だ!観客の盛り上がりが最高潮だった瞬間かもしれない。検札する姿は国鉄職員のようだったが、高木選手とみのる選手を見つけると目がギラリと光った。みのる、高木両選手にチョップを見舞い、車内は大興奮。小橋さんの「名古屋まで行くぞー!おー!」のかけ声で車内の一体感を感じた。
小橋車掌が去ると一気にラストスパート。ゴングを鳴らす木槌を手に迫るみのる選手がコツンコツンと頭部を攻撃。じゃれる年上男性、かわいい。
距離を取った高木選手がダッシュラリアートを狙うも、最後はみのる選手のゴッチ式パイルドライバーで決着。内容が濃すぎてあっという間の37分29秒だった。
試合後、マイクを取った高木選手は突然の引退表明…。急展開すぎて理解が追いつかない状況となったが、涙よりも間近で心境を語る高木選手の表情を収めたい気持ちが勝った。しかしどうやらお決まりの流れらしく、10カウントゴングの途中で高木選手が「ウソだぁー!!」と絶叫。乗客に笑顔が戻り、夢の続きを期待させたところで、名古屋到着まで15分。選手が小走りで退場して幕を閉じた。
ミラクルの連続で1万7700円は安かった
約1時間半の車内での出来事は夢のようだった。ミラクルの連続。全く退屈する間もなく、忙しく楽しませていただき、これだけの充実感で17,000円は安い。間違いなく。しかし購入時点でここまでの体験は想像できないし、2万円を越えていたら手を出せなかったかもしれない。
もし第2回新幹線プロレスが開催されることになれば、2万円を越えたチケットでも争奪戦に参戦するだろう。本当に楽しい空間だった。劇的で夢のような大好きなDDTをこれからも応援していく。
なお、関連グッズはDDTオンラインストアで取り扱っているので気になったかたはぜひ。
高木大社長率いるDDTは春にお花見、夏はビアガーデン、先日は池袋満月祭にて野外でも試合を行ったり路上プロレスも行ったりしている。
11月12日には両国国技館で赤井沙希選手の引退興行も予定され、米AEWでも大活躍の竹下幸之介とクリス・ジェリコのシングル、新日本の高橋ヒロム選手参戦などが発表済み。
今後はどこでどの選手がマッチアップされるのか、ぜひDDTプロレスに注目していただきたい。(総合制作部・菊池史乃)