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私、ユンボを壊しました。

オフィスの事務的ワークならそれほど高価な機械を扱わないが、工場や研究所では目玉が飛び出るような額の機械を使うこともある。

「現場で働いて5年目くらいだったかな。大型特殊と車両系建設機械の免許を取って、ユンボを任されるようになったんだ」と話すのは、現場監督のKさん(50代)。松崎しげるほどではないが、日焼けした肌は働く男をイメージさせる。ユンボとは俗に言うパワーショベルのことだ。

「操縦席に座れるのがうれしくてね。それまでツライと思っていた仕事が楽しくなった。単純に土砂をすくっているように見えるだろうけど、アームとブーム(人間の体でいうと前腕部と上腕部)をうまく動かさないといい仕事はできないんだ」

ぬかるみにも強いパワーショベルだが…(生成AIで作成)

普通の人は乗らないのでよくわかりませんが、どうしてそのユンボが壊れたんですか?

「雨だよ。足元が弱いところに、バケット目一杯土砂を積んだら、バランスが崩れて30トンあるユンボが完全に横転しちまった。たいしたケガはなかったけど、壊したユンボを弁償しなきゃならないと思ったら手足が震えたよ」

その額、2000万円以上…。ただ、業務中だから全額負担はありえないでしょう。

「若いからそんなこと知らないんだよ(笑)。覚悟を決めて、社長のとこに謝りに行ったら、『本当にケガはないのか?』って逆に心配されて、壊したユンボは『気にすんな』だって。あんときは涙が出たなー」

Kさんはこのとき初めて「安全第一」の意味を痛感したという。

※このコラムは2014年4~10月に掲載された東京スポーツのサラリーマン面「破壊王」を再掲したものです。


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