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私、営業車を壊しました。

 つらい人生、むしゃくしゃして何かを壊してスッキリしたい瞬間もあるでしょう。本日からスタートする当コラムは、ストレスフルな現代社会を生き抜く男たちが“何か”を破壊してしまった喜怒哀楽エピソードをお届けします!


「まさか営業車で事故るとは思いませんでしたよ~」と語るMさん(製薬メーカー=33)の顔は思ったよりも暗くない。外回りをしていたある日の夕方、営業所に帰る途中の高速道路で、トラックのオカマを掘ってしまったという。

「ほどほどに渋滞してたから30キロくらいで走ってたと思うんすよ。ぼぉーっとしてたら、ものすごい衝撃があって、気付いたときには、前のトラックのおじさんが『兄ちゃん、大丈夫か!?』って。自分も外に出て一目で『(車が)お釈迦だな』と分かったんですけど、なんだか急に気分が良くなって首都高から見た夕日がすげーきれいでした(笑)」

 夕焼けを楽しんでいる場合ではないと思いますけど…。

追突事故を起こした営業車のイメージ(生成AIで作成)

「そりゃ始末書書かされて厳重注意を受けましたよ。でも、思ったほど厳しくなかったし、それまで上司に報告してなかったカスリ傷なんかも全部事故のせいにできましたから、ある意味ラッキーです!」

 上司が聞いたら卒倒しそうなセリフである。が、自分がこの立場だったらやはり同じことを考えるのだろう。大きな破壊は小さなミスを消してくれるのだ。

※このコラムは2014(昭和59)年4月3日付、東京スポーツ紙面「破壊王」を再掲したものです。


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