ゼロワンの弾丸児・田中将斗はメジャー、インディを問わず、どこのリングでも高評価を得ているレスラーだ。かつては日本人で初めてECW世界ヘビー級タイトルを奪取。ハードコア路線を得意としているだけに生傷は絶えない。旧FMW伝統の“休まない”美学を今に伝える男が経験した大惨事とは…。
デビューから16年、これまで300針以上、体を縫ってきた。今でも忘れられない傷が、頭頂部に残っている。
頭頂部の皮がめくれて頭蓋骨が見えていたにもかかわらず、そのまま試合を続行。当時、対戦相手だった金村(現キンタロー)も「あの時はビックリしたわ。皮がめくれて、ペッタンペッタンしとるのなんか見たことないから」とあきれて大笑いするしかなかった。
その後は頭皮を固定するため、包帯でぐるぐる巻きにして、ラグビーで使うヘッドギアをかぶって試合を行った。
そういえば田中は日本だけではなく、海外の育毛剤事情にも詳しい。若かりし日の大惨事を乗り越え、生き残った毛根を人知れずはぐくんでいるようだ。
※この連載は2009年4月~2010年3月まで全33回で紙面掲載されました。東スポnoteでは当時よりも写真を増やしてお届けします。