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「寂しいこと言うなよ。這い上がってこい」と泣きながら慰留してくれた星野仙一監督【下柳剛連載#25】

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今でも悔いが残るロッテ・清田育宏への一球

 何とか楽天でもう一花咲かせたい…そう思って乗り込んだ2012年の久米島キャンプではあったけど、順風満帆というわけにもいかなかった。いつものように打撃投手をしていたら、利き手の左手にボールが当たったりしてね。幸い大事には至らなかったけど、2月中旬に一軍の本隊が沖縄本島に移動したときも、久米島残留を言い渡された。

 ゆっくり調整させてもらったおかげで、オープン戦が本格的にスタートするころには何とか先発できる状態にまでは持ってこれた。しかも、星野仙一監督の計らいで3月3日に地元・長崎で行われたDeNA戦では凱旋先発までさせてもらって。すでにエースだった田中将大が同日の3番手で登板したことを考えれば、どれだけ気を使ってもらったか分かるでしょ?

楽天でのオープン戦初登板は故郷・長崎のマウンドだった

 この日は2回を投げて被安打1で無失点。アウト6つを5つのゴロで奪うオレらしい投球を見せることはできた。その後は10日に倉敷、21日にはQVCで立て続けにロッテ戦に先発。開幕カードのロッテ戦を意識した起用法であることはヒシヒシと伝わってきた。

 チャンスが巡ってきたのは開幕3戦目だ。舞台は底冷えするKスタ宮城(現コボスタ)、しかもチームは開幕戦を田中で落として2連敗スタート。どう考えても恵まれた条件ではなかったけど、テストで拾ってもらった身のオレは結果で応えるしかない。

開幕戦を田中将大で落とした楽天(2012年3月、Kスタ宮城)

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