違った視点、違った見方。
新入社員が任されている「新人note」も〝6人立ての4番手〟、競馬でいうならまさに中団といったところでしょうか。どうもはじめまして。東スポの超デジャブ採用を経て入社した権藤時大と申します。
ここまで書く順番は、同期6人グループLINEでのグダグダ騒ぎで決めてきましたが、どういうわけか「今書いた方がいい!」という謎の閃きが飛び出し、加田くんに続く4番手に立候補してこうして執筆に取り組んでいます。記事以外のものを書くのは初めての経験なのでつまらない話かもしれませんが、しばしお付き合いいただけますと嬉しいです。
ラガーマンがなぜ東スポへ?
大学時代は日本中世史を勉強する傍ら、ラグビー部の部員として日々忙しい生活を送っていました。崩し字というなかば(というか8割がた)象形文字のような文字の解読もやっていたので、走り書きメモのような文字の解読はちょっとした特技になっています。そんな私は大学3年の夏、あるものに出会ってしまいます。そう、「ウマ娘」です。そこから競馬にハマるまでは一瞬でした。ウマ娘のモチーフになった馬の過去のレースをYouTubeで見て…といったところでしょうか。そうこうするうちにある人に出会うことになりました(ちなみに「東スポで振り返る」シリーズではミスターシービーが好きです)。
田原成貴さんです。GⅠ週の東スポ紙面ではおなじみの存在です。4年の秋になっても内定をもらえず、ラグビーと競馬に耽溺している中、田原さんのライブ配信で東スポの採用を知った私は〝最後の1社〟と覚悟を決めて応募。自分でもわからないほど選考は順調に進み、今では同期たちとともに記者として働いています。
競馬記者の日常をご紹介
新人研修が終わると、レース部に配属が決まりました。中央競馬や地方競馬、ボートレースに競輪、オートと幅広いジャンルをカバーする部署ですが、私は中央競馬担当に。毎週水~木曜日はJRAの美浦トレーニングセンター(通称トレセン)で勤務しています。まだまだ勉強中の身ですが、トレセンで働く記者の仕事を大まかにご紹介します。
水曜日に取材するとなると、前夜はトレセン内の施設「筑波寮」に泊まって翌朝の取材に備えます。夏は朝5時から(冬時間だと7時)調教が始まるので、4時すぎに起きると身支度を整えて、南調教馬場の南調教スタンドへ。そこで追い切りの様子を観察して原稿を書いたり、調教師の先生からその週に使う馬のコメントをもらったりします。10時過ぎぐらいに午前の業務が終了すると昼食としばしの休憩。たまに仮眠も取ります。そして午後は厩舎に出向いてそこでもらったコメントを打ちこむ、あるいは記事の原稿作成などをしていることが多いです。
木曜日も午前の流れ自体はほぼ同様ですが、日本ダービーや天皇賞など大きなGⅠレースの枠順が14時に発表されるときは、夕方まで関係者コメントをもらいに走り回ることになります。
予想デビューの安田記念
そんな私の予想デビューは6月4日に行われたGⅠ安田記念の週でした。ちょっと恥ずかしいのですが、東スポ競馬WEBの記者一覧にも自分の欄ができたのです!
現在は東の8~12Rと西側、ローカルのそれぞれメインレースの予想を掲載させていただいています。
しかも安田記念で予想を的中させることに成功しました。これも美浦にいたからこそできたことです。
その前週の木曜日、私はソングラインの一週前追い切りを終えた戸崎圭太騎手の囲み取材にいました。ソングラインは勝利したヴィクトリアマイル(5月14日)から中2週のローテーション。そんな中でハードな追い切りを行っていましたが、戸崎騎手が「前回よりいい」とおっしゃるので、内心びっくりしました。確かに、追い切り後もソングラインに疲れている様子はみじんもありません。
「これは本命にするしかない!」
第六感を信じて私はソングラインに本命の◎を打ちました。しかし、先輩方の予想を見てみるとソングライン本命は少数派。過去に勝ちのない大外枠(8枠18番)だから無理もありません。
不安を抱えながら迎えたレース当日。ゲートが開くとソングラインは大外から少しずつ内へと進路を変え、中団後方のポジションをとりました。ライバルたちの動きを把握できる好位置だったと思います。4コーナーを回って最後の直線、インコースをロスなく走ってきたジャックドールが抜け出すと、馬群を縫ってセリフォスが襲い掛かります。そして最後の最後、外から度肝を抜くような怒濤の末脚でソングラインが飛んできて快勝!セリフォスに騎乗していたレーン騎手がレース後のインタビューで「(ソングラインは)スーパースター」と脱帽するほどの強さでした。かくして私の予想デビューはこの上ない結果となりました。
絶好調のラガーマン記者、終面デビュー
幸運は続き、安田記念→エプソムカップと2週連続で予想が的中。とはいえ入社3か月目で終面予想を任されることになるとは思いもしませんでした。レース部に配属された後、河合部長には「関谷記念(8月13日)あたりで行くからな~」と冗談めかして言われたことはありましたが、ラグビーボールを持った自分の写真が馬よりも大きく載るなんて…(笑)
大役に指名された以上は「何とか頑張ってやり遂げよう」、そう意気込みました。3歳馬のダート戦線を占うGⅢユニコーンSで私が本命にと考えたのはペリエ―ル。追い切り後に同馬を管理する黒岩調教師が快く取材に応じてくださいました。先輩のまりえさんに見守っていただきながらの取材でしたが、やっぱり初めてのことは何事も緊張するものですね。終わった後は汗がびっしょりでした。
そして6月18日のユニコーンS、祈るようにレースを凝視していると、ペリエ―ルが3馬身差の圧勝を見せてくれました。最高の結果です。改めてこの場でも突撃取材を快く引き受けてくださった黒岩先生に感謝の意を伝えたいと思います。本当にありがとうございました。
何事もやってみてなんぼ
いろいろな経験を積ませていただいている中、一貫して思うことは「何ごともやってみてなんぼ」ということ、そして「違った視点で物ごとを見れば視界が開けること」です。私自身「ウマ娘」に出会う前は競馬を単なるギャンブルの一種という考え方をしていました。ですが、実際競馬について知れば知るほど「なんでこんなに面白いものに早く気が付かなかったのだろう」という考えを持つようになりました。
実際トレセンに行ってみると、それまでの〝競馬ファン〟だった時とは違う目線で馬を見たり、ジョッキーや調教師の先生など関係者の方と話して発見できることもあったりします。逆に1人の〝競馬ファン〟の目線で考えてSNS用の動画を撮影したらこれが意外とハマったといったこともあります。
まだまだ失敗することもあるでしょうが、先述した2つのことを忘れずに学び続けていい記事を書けるよう取材に励んでまいります。「東スポ競馬WEB」はYahoo!ニュースにも配信されています。気になる記事を見つけたときにはぜひ読んでいただければ幸いです。ということで最後までお付き合いいただきありがとうございました!(レース部・権藤時大)