見出し画像

ひとつでも高いところを目指し、皆さんに前向きになれる大きなエネルギーを…【高田延彦連載#11/最終回】

 前の話へ / 連載TOPへ

ローキックは〝諸刃の剣〟

 今回と次回は2016年29、31日にさいたまスーパーアリーナで開催される「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND―PRIX 2016」の見どころを紹介させていただきます。

 注目は、何といっても無差別級トーナメントでしょう。選手たちは29日に2回戦を行い、勝ち進むと大みそかに準決勝と決勝を戦います。この戦いは本当に過酷です。ワンマッチも大変ですが、これだけ質が高い選手が揃っているのに、わずか中1日で最大3試合を戦うんですから。

 見どころは、そんな過酷な連戦を選手がどう戦い抜くかです。優勝を目指す上では当然スタミナなどは温存したい。それでも瞬間、瞬間はフルパワーでいかないと勝てない。勝っても手負いになるかもしれないし、フルタイム戦えばスタミナを消耗してしまいます。そうなると優勝は厳しくなってくる。

 中1日というのは本当に大変です。わずか1日ではダメージは回復しませんし、強い打撲や衝撃はかえって腫れたり炎症が広がったりすることもある。全選手がそういうトラブルを最小限に食い止めたいはずですが、相手のあることだから思うようにはいかない。そのあたりの選手の動き、メンタルをイメージしながら見ると面白いと思います。

美女のダンスでステップを踏みながら入場するモー(2008年9月、代々木競技場)

 そういう意味で分かりやすいのは、2回戦でぶつかるミルコ・クロコップ(42=クロアチア)と昨年覇者のキング・モー(35=米国)でしょう。2人とも優勝を狙っていますから。この2人の戦いを見れば、選手がどのように決勝までのプランをイメージしながら戦っているのか、よく分かると思います。

 例えばローキックの使い方。ローはうまく当たると、一発で足の先から脳天まで響くような大ダメージを与えることができる。ところが変な場所に入ったりガードされたりすると、逆に蹴った足がダメージを受けることもある“もろ刃の剣”なんです。

 ミルコにとってローは大きな武器であることは言うまでもありません。その武器をミルコは序盤から出すのかどうか。逆にモーも打ち合いながら入るのか、それとも様子を見ながら入るのか。お互いが出す攻撃パターンを深読みしながら見てほしいですね。ぜひ「2人は大みそかのメーンで行われるトーナメント決勝を見据えながら戦っているんだ」とイメージをしながら見てください。この2人のみならず、トーナメントの他の試合もそういう想像をしながら見ると、より楽しめると思います。

ミルコの戦いぶりは要注目だという

 次回はいよいよ最終回です。29、31日にはワンマッチでも見どころがたくさんありますので、いくつかをピックアップして紹介させてもらおうと思います。

皆さんも力一杯応援してください

 最終回は「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND―PRIX 2016」(29、31日=さいたまスーパーアリーナ)で行われる注目のワンマッチをいくつか紹介させてもらいます。

 本当は全試合語りたいところですが、そうするとキリがないので(笑い)。何試合かに絞っていきましょう。この年末は勝負論のある戦いが揃いました。

 まず挙げたいのは、所英男(39)VS山本アーセン(20)の一戦です。これからの時代を背負うアーセンには頑張ってもらいたいが、所だって簡単には譲れない。お互いに負けられない。ものすごい勢いで成長しているアーセンか、それとも所が時代にあらがうのか。楽しみな試合です。

 勝負論なら川尻達也(38)VSクロン・グレイシー(28=ブラジル)の試合も注目です。UFCから日本に戻ってきた川尻は、かなりモチベーションが上がっている。経験で勝っているだけではなく、日本に帰ってきて初戦とあれば、負けられない。クロンもまだデビューしたてですが、あの一族に負けは許されませんからね。まさに「絶対に負けられない戦い」というわけです。

 女子の試合も充実しています。特に村田夏南子(23)VS中井りん(30)の一戦。村田は、勝てば「中井に勝った女」という称号が手に入る。その一方で中井も、今もっとも勢いのある村田を倒せば、一気に注目が集まる。お互いに「勝てばおいしい試合」です。激しい展開になるでしょう。

SM風衣装で公開計量に臨む中井りん(左)と村田夏南子。中央は高田氏(2016年12月、東京・恵比寿) 

 スペースの都合上、多くを語れないのは残念ですが、ほかにもワンマッチはヒリヒリする試合が盛りだくさんです。会場やテレビでぜひ見届けてください。

 最後に東スポ読者の皆様へ。1回目から私の連載を読んでもらってありがとうございました。最終回まで読んでくれた方は、少なからず格闘技に興味があったり、大好きな方だと思います。そういう方に「RIZINがあるから頑張れる」「RIZINのあの選手を見て、つらいことも乗り越えられる」と感じてもらえるものを、どんどん提供できるように頑張っていきたいと思います。

 ひとつでも高いところを目指し、皆さんに前向きになれる大きなエネルギーを発信できるようにイベントを磨いていきたい。だから皆さんも力一杯応援してください。RIZINというイベントを一緒に磨いていきましょう。そして数年後には「とうとうここまで皆と一緒に来たね」という達成感を味わいましょう。

 今まで本当にありがとうございました。それでは、またどこかでお会いしましょう!!

RIZINを盛り上げた高田氏

 前の話へ / 連載TOPへ

たかだ・のぶひこ 1962年4月12日、神奈川・横浜市出身。80年に新日本プロレスに入門。81年5月の保永昇男戦でデビュー。84年に新団体UWFに移籍。第2次UWFを経て、91年にUWFインターを設立し「最強」の称号を得る。新日本プロレスとの対抗戦は日本中を熱狂させた。解散後はPRIDEに戦場を移し、ヒクソン・グレイシーら強豪と激闘を展開。98年に高田道場設立。2002年11月24日の「PRIDE・23」(東京ドーム)の田村潔司戦を最後に現役を退く。引退後はPRIDE統括本部長に就任してタレントとしても活躍。夫人はタレントの向井亜紀。

※この連載は2016年11月22日から12月29日まで全22回で紙面掲載されました。東スポnoteでは写真を増やし、全11回でお届けしました。


カッパと記念写真を撮りませんか?1面風フォトフレームもあるよ