この男が暴走モードに突入すれば、誰も手がつけられない。昨年9月、雷陣明を一時意識不明に追い込み、後楽園ホールに救急隊が駆けつけた“事件”はいまだ記憶に新しい。雷陣の張り手に激高すると強烈なビンタで反撃。気がつけば、意識を失った雷陣の後頭部を何度も踏みつけていた。
暴走ぶりは入団後に始まったワケではない。中央大学卒業を控えたある日、レスリング部のコーチを務めていた諏訪魔がとんでもない暴挙に出る。練習中に後輩部員に暴行を加え、この時も救急車が駆けつける大騒動となった。
幸い、命に別条はなく数日間の入院を経て退院。後遺症もなく結婚して平穏な日々を送っているという。ただ、諏訪魔の性根はそう簡単には変わらない。32歳となった現在もささいな出来事でプチ噴火を繰り返す。
そんな不満を車中でぶちまける諏訪魔に、同乗したカズ・ハヤシ、近藤修司が冷ややかな視線を向けたのは言うまでもない。それにしても、諏訪魔がここまで短気になった原因はなにか? 諏訪魔は高校時代に受けたイジメが原因と分析している。
一方で、理不尽にも込み上げる怒りは諏訪魔にとって不可欠なものでもある。諏訪魔は「なにかにムカムカしていないと練習もできない」と言い切る。諏訪魔の未来はいかに理性を保ち、自分をコントロールできるかにかかっている。
※この連載は2009年4月~2010年3月まで全33回で紙面掲載されました。東スポnoteでは当時よりも写真を増やしてお届けします。