見出し画像

上司はみんな、部下育成で悩んでいる

Google検索窓に「仕事」「部下」と入力したら、こんなサジェストが出てきました。

最初は本人のために「指導」して「育成」しようと思ったのに、伝わってないようだからちょっと厳しく接したらその部下が「泣く」事態となって、こりゃダメだ「使えない」し、ここまで「言うこと聞かない」なんてどうしようもないや…と割り切ったら今度は、部下「からのパワハラ」告発によって、自分に冷たい視線が飛んでくるようになって「ストレス」がハンパないよ!もう、あいつのこと思い出すだけで「イライラ」しちゃう!!!

といった具合に、サジェストされた単語を上から順に並べるだけで上司のつらい物語が秒速で完成しました(苦笑)。

Googleサジェストは検索ボリューム、多くの人によって検索された回数、トレンド、キーワードを内包するサイト数によって表示されるので、世の中の多くの人が部下育成に頭を悩ませていることの証左といえるでしょう。

私も例にもれず、締め切りを守らない(守れない?)後輩が現れたときなどは「それ、先に言ってよ~~~」と頭を抱えます。同時に「もしかして自分の指示の仕方が悪かった!?」と振り返りますが、どうやらそんなことではなさそうだとわかるともうお手上げです。気づけば本屋で『「指示通り」ができない人たち』(日経プレミアシリーズ)という本を見つけて手にしていました。

この本では、仕事ができない要因を、認知能力の問題、メタ認知能力の問題、非認知能力の問題という3つに仕分けしています。事例を読み進めていくだけで「そうそう、あるある~」とわかったつもりになれるのですが、より深い理解と記憶の定着のために図にしたのがサムネです(東スポのくせに意識高めとか言わんといてください笑)。

3つの能力をより具体的にするとこんな感じです。

【認知能力】知的能力(IQ)、特に読解力
【メタ認知能力】自分がどのように認知しているか振り返る力、モニタリング力
【非認知能力】モチベーション、感情コントロール、忍耐力、共感力などいわゆるEQ

この三角形がすべて満たされたら仕事ができる人なのでしょうが、そんな完璧な人はめったにいないと思います。私が今回、注目したいのはメタ認知能力です。

というのも、この記事を書きながら、私自身がものすごく自分をモニタリングしているからです。

「上司はみんな悩んでいる」という記事を書くことで、自分の会社の部下や後輩を傷つけていないか?

そもそも自分のいたらなさを棚上げしていないか?他責思考になっていないか?

もしこの記事を上司が目にしたら何を思うだろうか?「お前が言うな」と突っ込まれやしないか?

パッと考えただけでもこれだけのことを気にしながら書いています。多方面をモニタリングしながら書くのはなかなか骨が折れる作業ですが、それでも書いてみようと思ったのは、ある先輩がこんなことを言っていたからです。

「あいつは仕事ができないから…って決めつける人っているじゃん!?でも、本当に仕事ができない奴だとしても、その人を使いこなすことができない、育てることのできない上の人間もまた〝仕事ができない〟ってことなんだよね」

深いですね。これもまた、自身の立ち位置をモニタリングしているからこそ見える視点でしょう。メタ認知能力はあらゆる場面で効くものなのだな~と痛感しました。

人を育てるのが難しいのは言わずもがな。「あいつは仕事ができない」というラベルを貼り、できるだけ放置するほうが〝育てる〟よりもはるかに簡単です。部下の立場で考えれば、アドバイスをくれたり、叱ってくれたりする上司がいることに感謝しないといけないのかもしれません。「怒られるうちが花」ってことです。

そういえば、会社で偉くなってもはや誰にも怒られなくなったオジサンが、わざわざスナックのママに怒られに行く、あの現象は何なのでしょうか?いつかこの謎を解き明かしてみたいと思います。(東スポnote編集長・森中航)



カッパと記念写真を撮りませんか?1面風フォトフレームもあるよ