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トイクラッシャーに転職したい。

子どもたちが夏休みに入りました。子供たちはウキウキでいいかもしれませんが、親御さんは大変ですよね。かつての私のようにギリギリまで夏休みの宿題に手をつけないと、ラスト3日間で無理やり本を読んだり絵を描いたりと異常なノルマ(全部自分のせいですが…)に追われることになります。というワケで今回はこの夏、お子さんにおすすめの本をご紹介しようと思います。(東スポnote編集長・森中航)

本屋さんでは夏の文庫本フェアが盛大に展開されてます

自由研究の入り口にもなるし、読書感想文も書けるはず!

一応、児童書に分類される本ですが正直大人が読んでもめちゃくちゃ面白いし、「就活どうしようかな~」と迷っている大学生が読んでも目からウロコだと思います。その名も『これでかせげる!?激レアおしごとファイル』(ポプラ社)。

全部で32の職種が紹介されているのですが、はっきり言って知らないものばかり。せっかくなので、私が転職してみたいと思った職業をピックアップしてみましょう。どこで募集しているのかはわかりませんが、トイクラッシャーという職業があるというのです!

時にはハンマーでグシャグシャに、時には壁に放り投げる。そうしておもちゃを壊し続ける人びとがいる。別におもちゃにうらみがあるわけなじゃない。たとえば、ユーザーである子どもたちがおもちゃを乱暴にあつかって壊れて、破片でケガをしたら危ないよね? そうやって思わぬ事故が起きないよう、耐久性のテストをしているんだ。おもちゃを好きだからこそ、それで人が傷つかないようにしたい。未来をになう子どもたちの安全を守るために、涙をこらえておもちゃを壊す人、それがトイクラッシャーだ!

『これでかせげる!?激レアおしごとファイル』(ポプラ社、2022年、26ページ)

破壊に次ぐ破壊…これならストレスを一気に発散できそうですよね(笑)。たまに原稿を書いている途中で文章が消えたりするアクシデントが起こると「ふざけんなよ!」とパソコンを殴りたい衝動に駆られますが、会社から支給されている備品を壊すわけにはいきません。そんなことをしたら始末書を書くハメとなり、さらに怒りが増幅してしまいます。なので、怒りのピークは6秒で超えるというアンガーマネジメントでなんとか耐え忍ぶわけです。

トイクラッシャーの転職先は?

この本のすばらしいところは「おしごと紹介」のあとに「おしごと適性チェック&転職案内」がついているところです。さぁ、私はトイクラッシャーに向いているのでしょうか?

読み進めるとトイクラッシャーに向いているのは「ルールにしばられない人」だとあります。なぜなら、子どもはおもちゃを説明書通りに遊ぶとは限らないからです。また力持ちすぎてパワーが有り余っている人は必要以上におもちゃを粉々にしてしまうので不向きとも記されています。私は日々の仕事でパワーを消耗してしまっていますから、ちょうどよい仕事かもしれません(笑)。

では、トイクラッシャーのスキルをいかせる転職先は何なのでしょうか? 本の中では3つの仕事が列挙されていますが、この方向性が多様で面白いです。いつも子ども目線でおもちゃを壊していればきっと子どもたちのあやし方も上手になるから「保育士」、どうやって遊んだらどう壊れたかという事実を自分の言葉でレポートするなら「アナウンサー」、破壊をスケールアップさせるなら「解体業者」。フツーなら横並びになることがない職業が並ぶことに驚きを感じつつも、実はあらゆる経験があるゆる仕事への可能性となることを示していて、仕事の奥深さを考えさせられます。

そういえばビジネス書でよく見かける〝イノベーション〟という言葉も、破壊と関連を持っています。ヨーゼフ・シュンペーターは『資本主義・社会主義・民主主義』という本で、既存の秩序に守られた市場を破壊して、より成長力のある経済圏を作り出すことが経済発展であり、それを担うのが企業家つまりイノベーターによる〝創造的破壊〟(Creative destruction)だと言いました。

実は著者も激レアさん

ちなみにこの本のテキストを書いたカルロス矢吹さんもまたいろんなことをお仕事にされている方です。ちょっと前にはバッティングセンターの本を書いていて、一緒にバッセンに行ってきました。でもそれだけじゃなくコンサート運営や美術展のプロデュースなんかもされています。

カルロス矢吹さんは「おわりに」でステキなことを言っています。

びっくりするようなめずらしいおしごとをたくさん紹介してきたけど、その全てに共通するのは、「人の役に立っている」ということなんだ。逆に言えば、どんなことでも人の役に立っているのなら、おしごとになる可能性がある、ってこと。

明日の東スポを読んで誰かがクスッと笑ってくれるように、私はもうちょっと記者の仕事を頑張ってみようと思います。

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