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岸部四郎がちょうど40年前に語っていた「吉野家」最高のぜいたく

こんにちは、岸部シローです。きょうは一つ最高のゼイタクな話をさせてもらいます。

だいたい世の中では、ゼイタクいうもんは金がかかると思うとる人が多いのと違いますやろか。「そんなゼイタクしてもったいない」。こういうとき問題になってるのはお金であることがほとんどです。確かに宝石やらミンクのコートは金のかかるゼイタク品です。

また昼飯時に一流レストランへ行ってフランス料理のフルコースを注文すれば、3000円や5000円じゃすまない。これもかなりのゼイタクや。しかし最高のゼイタクかというと、そうとは限りません。

宝石やミンクなんて値段は天井知らずのもんやし、フランス料理だって、そのレストランで一番高いメニューを食べる人はめったにいるもんやない。つまりゼイタクいうても、中位でしかないわけや。

ところがボクのゼイタクいうのは「もうこれ以上はできない」という極めつきの食い道楽! なんていうと、ちょっとオーバーやけど、とにかく食い物のゼイタクであることは事実です。それもすっと気軽に入れる庶民の店で…。サテいったいどこに食いに行くかといいますと、かの有名な牛丼チェーンの吉野家ですねん。

吉野家行ってどんなゼイタクをするか。まず牛皿の大盛りを注文する。これに白飯をつけるのがフツーの食べ方だけど、ボクは白飯とらないで、別に新たに牛丼を追加するという豪華版。これにみそ汁とおしんこがつく。異常食欲の持ち主でない限り、これ以上のゼイタクはできません。それで腹いっぱい食ってナンボかというと、千円でオツリがくる。これこそホンマのゼイタクやと、ボクは思うとるわけです。

お金をかければ、どんなゼイタクもできる。けど、これ当たり前すぎて面白うない。お金かけないで、どこまでゼイタクができるか、そういうことも考え、実行してみるのも、また楽しいもんでっせ。

〈岸部シローのメモ〉昭和24年6月6日、京都に生まれる。グループサウンズ『ザ・タイガース』出身。現在は役者一本で活躍。著書『岸部シローの暗くならずお金が貯る』。貯めたお金、推定1億円。

※このコラムは1984(昭和59)年4月11日付、東京スポーツ紙面を再掲したものです。

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