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CIMA「オレと戦う時は歯だけは攻めんといてくれ!」【思い出したくない恥バウト】

 カリスマ・CIMAにも、忘れたい過去があった。洗練された試合運びとコミカルなマイクアピールで不動の人気を誇るCIMAだが、ドラゴンゲートに所属していた若手時代、海外で大失態をさらした。試合中に刺し歯が抜け落ち、大観衆に爆笑されたという。

決めポーズ取ろうとした瞬間、前歯4本ポロリ

 いや~、本当に思い出したくないですわ…。どうしても話さなアカンのですか? 恥ずかし過ぎて対戦相手とかは忘れてしまいました。あれはデビューして1年たった1998年、会場はメキシコのアレナ・ナウカルパン。当時は「シーマ・ノブナガ」というリングネームで戦っていた。日本人ということもあってルード(悪役)。俺も必死だったから、試合中にベビー(正統派)の相手をボコボコにしたんです。

デビュー当時のCIMA(当時はシーマ・ノブナガ)はメキシコで歯が抜けてしまった

 相手を足げにして憎ったらしく、観客にアピールしてやろうと思った。両手を広げて大見えを切りながら客席を向いた、まさにその時やった。絶妙のタイミングで前歯の刺し歯が4本、ゴソッと落ちてしまったんですわ。どうにもならん…。アドリブも全く利かせられなかった。

 そんなマヌケな姿を1000人以上のお客さんに見られてしもうた。普段、お客さんが飛ばすヤジは、レスラーを上に見てやるもの。でも、この時ばかりはお客さんに上から目線でバカにされてしまった。歯を指さしながら笑う人もいた。13年間、プロレスラーをやってきて、あそこまでさげすまれたことは最初で最後やね。

翌週の試合で逆手に取った

 頭に浮かんできたのは、ひとつ上の兄貴(次男)。(幼少時に)オレを殴って前歯を折ったのはあの男や。思わず恨んでしまったね(笑い)。なかなかショックから立ち直れなかったけど、翌週の試合でバカにされたことを逆手に取った。いい言葉じゃないが「オレは新しい歯を入れてきた。お前らに買う金があんのか?」と挑発してみた。たくさんヤジが飛んできたけど、素人ではなくルードに対するものに変わっていた。

 あんな思いは二度としたくない。今では3年に1回ぐらいのペースで、しっかりと刺し歯をメンテナンスしていますよ。落ちんように…。芸能人も歯が命かもしれんけど、オレも歯が大切や。オレと戦う時は歯だけは攻めんといてくれ!

日本でも差し歯が取れたCIMA(2015年9月、後楽園ホール)

※この連載は2009年4月から10月まで全14回で紙面掲載されました。東スポnoteでは写真を増やしてお届けする予定です。

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