先週のジャパンカップのイクイノックスは本当にミラクルでしたね。そのお父さんがまさに今、放送されているアニメ「ウマ娘」のヒロインなのですから、これもまた奇跡的です。第８話では、そのキタサンブラックが自身と向き合いました。レース描写が少なかったので、今回はネタバレしない程度に次回以降も展望してみようと思います。（文化部資料室・山崎正義）

シュヴァルグランの背番号

　まずは小ネタから。シュヴァルグランがバッティングセンターで姉ヴィルシーナと話す場面で来ていたユニホームの背中には「２２」。前回のｎｏｔｅで書いたように、このきょうだいのオーナーである元プロ野球選手・佐々木主浩さんの背番号です。写真あります、スポーツ新聞なので。

ドゥラメンテ産駒

　第８話では、ケガをしているドゥラメンテがキタちゃんに言った言葉も話題になりました。

　何度も書いてきた通り、ひいおばあちゃん、おばあちゃん、母がＧⅠ馬という日本が誇る最強牝馬の流れをくむ血統。残念ながらドゥラメンテの復帰はかなわないのですが、その思いは子供たちにしっかり伝わります。種牡馬としての初年度産駒から菊花賞馬・タイトルホルダーを輩出し、昨年、凱旋門賞に挑戦したのです。

　結果は１１着でしたが、その昨年には２年目の産駒であるスターズオンアースが牝馬２冠を制しました。そして３年目の産駒からはご存じリバティアイランド。牝馬３冠を達成し、先週のジャパンカップで、現役最強、いや、歴代最強といわれるイクイノックスに果敢に挑戦。

　結果は２着でしたが、イクイノックスの父がキタサンブラックなので、この戦いは〝アニメ・ウマ娘対決〟として大きな話題になりました。リバティからすると、正直、相手が悪かっただけですから、来年以降に世界を制してもらいましょう。また、残念ながらドゥラメンテ産駒は今年の２歳も含めてあと２世代しか残っていないのですが、そこからタイトルホルダーやリバティアイランドを超えるような、そして世界にあの血脈のすごさを見せつけるような馬が出てくることを期待したいです。

キタちゃんの今後

　悩みに悩んだ末に、自分の夢ともう一度向き合えたキタちゃん。第８話の最後では、前を向いて、いつものように「うおーーーーー！！！」と猛ダッシュしていました。「私は天才にはなれない」と口にしたキタちゃん、だからこそ練習するしかない…というわけなのですが、今回のアニメでは、このひたむきさ、猛練習の様子が何度も何度も描かれていて、キタサンブラックファンとしては本当に涙が出てきます。レース結果についてはネタバレになるから書きませんが、実はキタサンブラックはサトノダイヤモンドに有馬で敗れた後、翌年になって調教のペースをさらに上げていくのです。復帰戦となる大阪杯を前に、１日に３本、坂路を登りはじめました。

　ダッシュするわけではなくキャンターですが、この２０１７年の時点で、栗東トレーニングセンターの坂路を１日に３本登る馬はほとんどいませんでした。２本乗りの厩舎すら少なくなっていたのに…。当時の記事で、本紙記者が清水久調教師に真意を聞いた答えはこうです。

　もともと栗東ではハードに調教する厩舎でありましたが、いやいや、でも…という記者に対して、清水トレーナーはさらに続けました。

　馬だけではなく、人にも「信念」――。でも…でも、でした。誰もが思うのです。既にＧⅠ３勝で種牡馬になるであろう馬。なんなら有馬で負けたとはいえ、前年の年度代表馬にも輝いていたスターホースなのです。普通だったら故障を恐れて、ここまではできません。だからこそ、このハードトレを報じる本紙の１面の見出しは…。

　はい、「マジかよ！」というものでした。でも、馬も人も、さらなる高みを目指したのです。おそらく第９話はこのあたりの史実を踏まえた内容にはなると思われますが、リアルを知ったうえで、キタちゃんの「うおーーーーー！！！」と、今後描かれるであろう２０１７年の戦い、ダイヤちゃんとの再戦を見たら、さらに胸アツになること必至。もう待ちきれません。