女王様による〝奴隷の入試〟を受けてみた
じわじわと、確実に、売れ始めているような気がしないでもないドキュメンタリー芸人・コラアゲンはいごうまん。東スポにおける〝実録連載〟を復刻しています。
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今日はSMの女王様に仕える奴隷Kさんのお話です。蛭子能収似。女王様からの信頼は厚く、10人を超える奴隷を束ねていたこともあるKさんの役職は「奴隷頭」。それ、偉いのか!?
出会いは20年ほど前。所属するワハハ本舗の演出家・喰始(たべ・はじめ)に「奴隷体験をしろ」と命じられた時のことでした。ネットで検索したところ、なんとある女王様が奴隷の入試を行う、と。合格した勝ち組が奴隷をやるというシュールなシステムに興味が湧いて「受験希望」と送信すると、奴隷と名乗る方からこんな返信がきたんです。
「試験問題は1問。8月30日14時に横須賀の◯◯海水浴場のどこかにいる女王様と私を探せ」
相当大変なのでは? ウォーリーを探せばりに難解なのでは? そう思いきや5分で発見できました。ほとんどのカップルがのんびりと過ごしている中、ある女性が乗ったゴムボードから伸びた紐を腰に巻いた蛭子能収似の男性が必死に平泳ぎを…そう、女性を引っ張っていたんです。しかも、遠泳といいますか、どんどん沖に向かっていき、ついに水平線と交わり…。後日Kさんに聞くと、この時、女王様からいただいた指示は「アメリカに向かえ」だったそうです。
さて、2人を見つけられたので晴れて合格となりましたが、年中全国をツアーで回っている僕に芸人と奴隷の両立は難しく、やむなく自主退学。しかし、Kさんとは友達になりました。
仲良くなったのはズバリ僕もドMやから。お互い日ハムファンで2人で日ハムVSロッテ戦に行ったこともあります。野球見ながら激変する奴隷事情を聞かされたのは人生初めて。聞けば、年が経ち女王様の美貌にかげりが見えると、十数人の男たちは奴隷解放を唱え、みな去っていったそうです。そんな中、Kさんだけは女王様の側に仕えている。あのときで足かけ20年、そう、アメリカに向かい泳ぎ続けていました。
「だって女王様は俺みたいな変態に、ありのままでいいと教えてくださった方。俺から離れることはありません」
ジーンときたその時、腰に力の入らない、ふがいないバッティングした選手をKさんがヤジりました。
「泳がされてんじゃねーよ」