タイガーマスク「あの時マスクを貸してくださった方ありがとう」【思い出したくない恥バウト】
もし覆面レスラーがマスクを忘れたら…。新日本プロレスのIWGPジュニアヘビー級王者・タイガーマスクはみちのくプロレス時代、試合にマスクを忘れる大失態を演じたことがあった。
カバンの中を探してもマスクがない
10年くらい前だったと思うんだけど、みちのくプロレス時代に福島・二本松市大会で試合用のマスクを忘れちゃってね(苦笑)。試合前のサイン会が終わって、さあこれから着替えようって時にマスクが見当たらなくてさ。カバンの中を捜してもなけりゃ、バスにもない…。
よくよく考えてみたら「そういえば前の日に洗濯してホテルの照明のところで乾かしてたな」って思い出したけど、前日は仙台で試合してたから、もちろんホテルは仙台。今さら取りに戻れる距離じゃない。「じゃあどうするんだ?」って。試合用じゃないけど、後ろがファスナーになってるプライベートマスクを使うことも考えた。でも、結局答えが見つからず「どうしよう、どうしよう」って頭を抱えている時に、サイン会で会った一人の男性ファンのことを思い出したんだよね。
その日のサイン会には本物のタイガーマスクのマスクを持って来てる人がいたんですよ。その方にはたくさんサインしたから顔もよく覚えてて、試合前にこっそり会場に出て行ってその方を捜し出してね。正直に理由を説明して、でき得る限りのサービスをする約束で何とか本物のマスクを拝借させてもらいました。
動揺して普段なら考えられないミスもした
でも、何でかわからないけど、マスクがかなり小さい。試合ではやっぱり違和感があるし、何しろマスクマンにとって他人のマスクを借りるってことは、人のパンツを借りてはいてるのと同じこと。だから、その試合は試合自体が恥ずかしいんじゃなくて、僕自身が恥ずかしい試合だったんだよね。そういうのってさ、やっぱり試合にも表れるもので気持ちの動揺から普段ミスしないような技を失敗したりしてたもん。今となっては絶対考えられないことだけど、当時はゾッとしたな。とにかく、あの時マスクを貸してくださった方、ホントに感謝してます。ありがとうございました。
それから弁明じゃないけど、新日に移籍したばかりの頃に俺の世話をしてくれてた(中邑)真輔は、俺のチャンピオンベルトを忘れたりとか、もっと忘れ物がひどかったよ(笑い)。