好きな言葉は「下剋上」!入社半年の新人がベテラン整理記者にレイアウトバトル挑んでみた【もちろんハンデ戦】
し、し、しごとができなぁ~い!
何から手を付けていいかわからなぁ~い!!
フォローしてくれる先輩の優しい言葉が逆にきくうぅ~!!うびびびびびび(煙となって消える)
少し言いすぎましたが、そんな感じのことをたびたび思いながら日々整理部(新聞のレイアウトをする部署)で働いています(前回のnote記事)。もっと仕事ができるようになりたい。そのために大事なのは「自分の出来なさをしること」。実際にどれほどできないものか検証してみましょう。今回は新入社員の僕、そして勤続20年を超えるベテラン整理記者の先輩がまったく同じ記事、同じ写真を使って紙面をレイアウトしたらどれだけ差が出るのか、ガチンコのバトル形式で検証してみたいと思います!題して「下剋上お覚悟!新人vsベテラン 新聞レイアウトバトル~鳳凰編~」です。どんぱふ!
ルール説明
ルールは簡単。同じ記事、同じ写真で新入社員の僕とベテランの先輩社員がお互い新聞を1面作り、どちらが作ったかわからない状態で審査員に見せ、より多くの審査員に選ばれた方が勝利です。今回は僕も大ファン全日本プレスの23日後楽園大会の記事を使わせていただきました。プロレス好きとして負けられません(東スポWEBでは2本が別々の記事として公開されましたが、合わせて紙面で魅せるのが整理記者の腕の見せ所でもあります!)。
今回僕と対決してくれるのは先輩社員Sさん!仕事の合間を縫ってこの企画に快く協力してくださいました。恩を仇で返すようで悪いですが、僕の勝利の礎になっていただきます。お覚悟!
ぶっ潰されるのはいったいどっちなんでしょうね!!(ガクブル)。しかし勝負とはいえ20年と半年が同じ土俵で戦うのは土台無理な話、するとSさんからこのような申し出がありました。
「俺の作業時間20分でいいよ、そのぐらいのハンデは欲しいでしょ」
敵に塩を送るとは…。見上げた「武士」です。ありがたくハンデを頂戴します。
さぁ私は時間無制限で紙面製作スタートです!
新入社員のターン
見出しをつける
さてまずは記事を読んで見出しをつけていきましょう。東スポは見出しが特徴的で面白いことでも有名ですが、大事なのは「情報を取りこぼさないこと」今回の記事では「青柳勇馬が綾部蓮と戦って3冠ヘビー級王座で2回目の防衛を果たした」というところが一番大事な情報になります。このまま文章で載せるとわかりづらいのでこれをわかりやすく分けて見出しにしていきます。忘れられがちですが「全日」「後楽園大会」などの細かい情報もしっかり載せないといけません。
こんな感じで見出しをつけました。この記事に関しては「バカ」というところがキーワードだと感じたので、青柳選手とバカをかっこよくつなげたところがポイントです(ちなみに右下の「77l」は記事の行数で「77行=770字」を意味し、レイアウトをするときの基準になります)。
割付
次に割付です。割付とは言わば「新聞の設計図」写真と記事をバランスよくレイアウトしていきます。ポイントは「メリハリをつけること」目立たせたいトップ写真(一番大きくする写真)や主語(今回では青柳優馬)が目立ち、なおかつ一目でわかるような配置をしなければなりません。た。あちらを立てればこちらが立たずが日常的に起こる作業で、紙とカッターを使うので制作部は毎朝図工の時間の様相を呈しています。
できました!超かっこいいですね。皆さんが普段目にする新聞はすべてこの手作り新聞が出発点なんです!
組版
さぁいよいよ割付を「組版」していきます。パソコンの専用ソフトを使って実際の紙面をつくるのがこの作業。昔は印刷会社の人に任せていたそうですが、今の東スポでは整理記者がこの作業もやるのが一般的。文字は黒字か白地か、ゴシックか明朝か、などセンスが一番ものをいう工程です。でも大事なのは赤字(=ミス)を絶対出さないこと!優馬が勇馬になってしまったら一大事です。
数々の苦難を経て完成したのがこちらの紙面です!
そこそこいいものができたのではないでしょうか。ちなみに全部で1時間半ほどかかりました。これを20分でやろうというのだからベテランはやはりモノが違います。
先輩のターン
さぁ次はSさんのターンです。どんな紙面を見せてくれるのでしょう。記事を渡して、いざ20分でタイマースタート。
Sさん「記事読むところから?ちょっと聞いてないよ(笑)、それだったら30分はかかっちゃうな」
…たしかにそうですね。これは私の落ち度でした。いくらベテランとはいえ見出しはしっかり考えるのがプロの流儀。ここは30分に延長しましょう。これでもたいへん厳しい時間です。
さて30分後声をかけると…
Sさん「マウスが使いづらいな~、いつもと環境が違って手こずってる」
…たしかにそうですね。「弘法筆を選ばず」という言葉がありますが、これは筆しか道具がいらない時代の坊主のお話。パソコンという複雑極まりない機械を使う現代の私たちは筆の選択が生死を分けます。もう5分の延長はやむをえません。
5分後…
Sさん「本当にもうちょっと待って」
「いや~時間かかっちゃたね」
きっかり45分後、Sさんのまぶしい笑顔がはじけました。降板ギリギリ(たまにちょっと越える)の時間までクオリティを突き詰めるのが整理記者の性。これはいいことなんだとまったく意味のなくなったハンデの言い訳を自分に言い聞かせることにします。
結果発表
Sさんが完成させた紙面がこちら!
僕のものと並べるとこうなります。
ぐ、これは、、、
皆まで言うのは後回しにして審査員に見せましょう。今回審査してくれるのは普段整理部でアルバイトをしてくれている二人。ちなみに二人とも自分の倍仕事ができます。誰か慰めておくれ。
さぁ結果のほどは…
僕「うびびびびびびびび(そらそう!!!自分でもうすうす気づいてた!(涙))」
Hさん「迷いませんでした。こっちの方が記事を読む気になります」
Kくん「まぁこっち(Sさんの方)かなと」
ぐぬぬ…でも涙を流している暇はありません。どうにか一矢報いなければ…そう思った僕は一路「編集局長」の机へと向かいました。そう東スポ編集局のなかで最も偉い人です。僕は曲げ恥ずかしげもなく2票が覆るほどの権力勾配のある1票を求めにいきました。
届け僕の思い…
編集局長「普通にこっちやなぁ~」
僕「うびびびびびびびび(黒い影を壁面に残し消滅)」
「画面が広く使えてる。うん。あ、君が作ったんこっちなん?ほなこっちやわぁ、アッハッハ」
嘘みたいな関西弁でフォローされてしまいました。勝負は全くの完敗です。
違いはどこにあった?
さて、先輩の紙面と僕の紙面どこに差があったのでしょうか。
一番の大きな違いは記事の配置です。Hさんのいう「記事を読みたくなる」K局長の「画面が広い」と言った理由がここに隠されています。
自分の紙面は記事部分が左側に偏っているのに対して、Sさんの紙面は右と左に分かれて配置されており、見出しと写真をよんで自然と記事に目を落とす流れのがきちんと表現されています。対して僕の紙面は一目見た瞬間文章が多い!という印象になり読む人の気持ちがそがれてしまいます。またSさんの紙面はVの字を最も大きく目立つつくりにしている部分も読み疲れのなさの要因の一つとなっています。
さらによく見ていくとより細かな違いがあります。例えば自分の紙面は見出しが腕に隠れてしまっているのに対して、Sさんの紙面は見出しが写真を邪魔しないよう加工してあります。また後楽園大会という情報の部分も目立たない場所に配置されており、制作部で口酸っぱく言われ続ける「読者の目線を分散させないこと」が体現された紙面に仕上がっています。スゴわざ!
完敗の僕にKくんは「でも見出しはこっちのほうがかっこいいと思いました」と言ってくれました。青柳選手のファンとして頑張ったこの部分で自分の健闘を称えたいと思います(泣)。Hさんは「かっこよすぎるのでちょっと写真撮っていいですか」といってSさんの紙面だけをカメラに収めていました。リアルなえこひいきをこれから始めていこうと思います。
おわりに
さて、いかがだったでしょうか。今回企画に協力してくださった運動2部の皆さま、編集局長、審査員の二人に感謝を申し上げます。また忙しい時間を割いてくださったSさんには格別の感謝を申し上げます。この記事が出るころにはおそらく横浜が最後に優勝した年が更新され、昔の出来事をしゃべるのに苦労されていることでしょう。僕はSさんがだれよりもこだわって紙面をつくる姿を見るのが好きです。「目の前の手仕事を続けていくことの尊さ」をその背中から感じます。「働くって悪くないかもな」とか「今日よりも明日もっといい仕事をしよう」と気持ちを新たにすることができるのはSさんが隣で一緒に働いてくれているおかげです。いつもありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。次は勝ちます!
では次回「絶体絶命!新人vsベテラン でんじゃらす新聞レイアウトバトル~邪~」でお会いしましょう。
おまけ
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