間違いさがしはまったく簡単じゃない
みなさん、こんにちは。新入社員の沢野です。「新人note」も6人中5人目ということで、どんな切り口で書いたらいいのかちょっと考えてみました。
きっとこのコラムを読んでくださっている方は、東スポ社員の働き方に興味を持ってくださっている方が多いと思います。みなさんが東スポに持つイメージはどのようなものでしょうか? おそらくはスポーツ、芸能、競馬などさまざまな対象を取材すること、そして紙面をレイアウトするということ。この2つをイメージする方が多いと思います。今回は「縁の下の力持ち」で新聞社には欠かせない「校閲」の仕事を紹介したいと思います。
「なんとなく」が通じない新聞表記
突然ですが、問題です。次のうち、正しい新聞表記はどちらでしょうか。
これは私が新入社員研修の時に、実際に問われた問題です。当時の私は、このように考えました。
この言葉のスペルは、「uniform」だから、Aだ。
おそらく、今この問題を考えてくださっている読者のみなさんもこのように考えた方が多いと思います。
ところが正解は、なんとBなんです。
新聞表記とはわかりやすい記事を書くために定められている漢字とひらがなの使い分けや外来語の統一的な表記法のことで、迷ったときは共同通信社が発行している『記者ハンドブック』で確かめます。
こちらも英語のスペル「idea」で考えると、Aっぽいのですが新聞表記ではBが正解。このように、「なんとなく」な感覚と異なるものがたくさんあります。
実際にどんなミスが起きたのか
ここからは、私が校閲研修を受けていたときの実体験を紹介していきたいと思います。
この記事が東スポWEBで初出されたとき、見出しが「渋野日奈子は5差37位」となっていたのです…。ゴルフが好きな人はもちろん、あまり詳しくない人でも渋野さんのお名前のところに違和感を覚えると思います。「日奈子」ではなく、正しくは「渋野日向子」です。その節は大変失礼しました。
なぜ気づけずにスルーしてしまったかというと、記事本文には「渋野日向子」と正しく表記されているのに、見出しだけが「渋野日奈子」と誤っていたからです。基本的に新聞社の記事は、記者→デスクといった具合に必ず複数の人間のチェックが入りますが、その途中に人為的なエラーが起きてしまうことがあるのです。
しかし、これを見逃さないのが校閲記者です。指導してくれた先輩社員は5秒で私の見落としを発見したのです。改めてプロの仕事だと実感しました。
脳の〝慣れ〟はおそろしい
次は、同期と2人で競馬面の校閲をしていた時のお話です。私は普段から競馬をよく見るので、競馬面がどのように作られるのかを知ることができるだけでも面白かったのですが、同期は競馬をまったく知りませんでした。
先輩社員からは「特に数字の間違いには注意するように!」と言われました。距離が1600メートルであるべきところが、16000メートルになってしまうこともあるというのです。私は「そんな間違いがあったらすぐに気づくだろう」と思っていました。競馬ファンの方ならわかると思いますが、16000メートルも走るレースは存在しないし、競馬新聞で目にしたこともありません。
すると、私がチェックを終えた紙面を再確認している隣の同期が声をあげました。
「あ、距離2000メートルが20000メートルになってる!!!」
いやいやいやいや、そんなことあるはずないだろ…と思いましたが、よく見ると本当に「20000メートル」になっていました…。
なぜ気づくことができなかったのか、自分なりに考えてみました。おそらく競馬に慣れていると思った私の脳が「20000メートル」を勝手に「2000メートル」に変換していたのだと思います。慣れは恐ろしいなと感じた出来事でした。
ここまで長く、地味なコラムを読んでいただき、ありがとうございました。みなさんにお伝えしたいことは、一見簡単そうに見える間違いさがしは、まったく簡単ではないということです。
世の中には間違いがたくさん潜んでいると思うので、細かいところに目を向けながら生活すると、新しい発見があるのではないかと思います。日常生活に役に立つかはわかりませんが…。(運動2部・沢野正太郎)