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あの有名な広島太郎さんの弟子になった話

「笑点」でもおなじみの春風亭一之輔も認めた奇才・コラアゲンはいごうまん。当noteでは、自らの体験談を漫談にする唯一無二のドキュメンタリー芸人による東スポコラムを復刻しています。

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 広島に路上生活50年のホームレスの方がいますねん。人呼んで広島太郎。広島市民でその名を知らぬ者はいない有名人で、噂を聞いてすっ飛んで行ったのが2007年のこと。

 夜の繁華街。閉店後の画材屋さんのシャッターにもたれかかるようにその方は座っていました。まず、度肝を抜かれたのは装い。腕時計を腕に4~5本巻きつけて、大量のぬいぐるみを身にまとい、マントのように青色のレジャーシートを羽織ってるんです。もし50年前からこの奇抜なファッションやったんなら、〝早すぎたレディーガガ〟といったところでしょうか。

 そんな広島太郎さんに素性を明かした上でいろいろ話を聞いてみました。まずは「いつもこの画材屋さんの前で座ってるんですか?」。すると太郎さん、「いや、原則として土日は休む」と。今も休んでるやん…と思いましたが、その時、通行人が立て続けにチップを渡して一瞬にして3000円が集まったんです。この人すごい! しかも、その月の僕のギャラより目の前で太郎さんが稼いだチップの方が多いやん!

「あんた大変じゃの」と不憫がられる僕。せっかくなのでこのくだりをネタにしていいか聞くと「かまわん。かわいい弟子のためじゃ」…って、いつからや! 揚げ句、僕の名前が悪い言うて「広島アキラ」と命名され、広島一門は弟子が師匠に生活費を渡すシステムらしく1000円払わされ…なのになんでやろ、怒る気もせえへんし、笑えるねんなぁ。

広島太郎さんの持ち物

 実は太郎さん、広島大学卒業後、東洋工業(現マツダ)に入社した元エリート。なんだか言葉に含蓄があります。特に忘れられへんのは、2009年ごろのこと。どないしても売れへん現実に落ちこみ気味やった僕に太郎さん、こんな言葉をくれたんです。

「努力は可能性を生み、根性はそれを維持する、ゴーイングマイウェイ!」

 そしてこう続けはりました

「頑張りんさい、アキラ

 やっぱりアキラで通すみたいです…。

◆コラアゲンはいごうまん 1969年生まれ。自ら体験した出会いやエピソードで観客に爆笑と感動を与える実録ノンフィクション芸人。著書に「実話芸人」(幻冬舎文庫)。2024年1月24日、東京・内幸町ホールで単独ライブ「〝コラアゲンはいごうまんが語る、笑いと涙の人生劇場〟Vol.5」を開催する。

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