埋蔵金第一人者の一歩目は「天草四郎の秘宝」
埋蔵金伝説と言えばこの人! 今回は、トレジャーハンター・八重野充弘氏に、埋蔵金との出会いをつづってもらった回を復刻--。
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筆者が初めて宝探しを始めた場所は、熊本県の天草下島だ。天草・島原の乱の一揆軍の残党が、黄金の十字架や燭台など、キリシタンの宝器類を池に沈めたという文書が残されているのだが、最初から本気で探したわけではない。雑誌の記事にするため、現地でそれらしい場所を取材して、終わりにするつもりだった。
ところが、この話に興味をもった知人が、伝説に一致する場所を探り当ててくれたのだ。山中の三角形の窪地にある沼で、筆者もここが秘文書にある「三角池」ではないかと考えた。
それが1974年6月のこと。翌月から早速調査を始め、以後4年間に7度通って発掘を行った。沼地に棒を突き立て、異物に当たったらそこをショベルで掘るという、なんとも原始的な方法だが、あるとき、鉄サビがこびりついた木片が、1カ所からかたまって出てきたことがある。
「宝を入れていた箱じゃないか!」
と、周辺を必死に掘ったが、それ以上は何も出土しなかった。
調査隊のことはしだいにマスコミに知られるようになり、2年目には「夕刊フジ」とフジテレビが同行取材、筆者自身が手記を旅行雑誌に寄稿したこともあって、少年コミック誌などさまざまなメディアで取り上げられた。
長い休止期間を経て、2011年7月、NHK熊本放送局からの依頼で、昔の仲間を集めて久しぶりの調査をする機会に恵まれた。高性能の金属探知機に期待をかけていたのだが、あいにく梅雨明け前の水の多い時期で、最重要ポイントを調べることができず、お預けとなった。
そのリベンジと意気込んで、2020年3月にも民放のTV番組の企画で現場入りを果たしたが、このときもなぜか水量が多く、狙った場所まで足を踏み入れることができなかった。条件さえよければ、納得のいく調査ができるはずなので、せめてもう一度、折をみてチャレンジしたいと思っている。