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駐屯地に「バズーカー砲をぶっ放して」と頼んでみた

 じわじわと、確実に、売れ始めているような気がしないでもないドキュメンタリー芸人・コラアゲンはいごうまん。東スポにおける〝実録連載〟を復刻しています。

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 それは北海道北西部の漁師町・増毛ましけでのライブ前日、知人のムチャぶりから始まりました。聞けば、国道で崩落事故があり、国土交通省が岩を撤去するまで3日間も通行止め。生活に影響が出ているとのこと。「隣町に留萌駐屯地があるのに、どうしてバズーカー砲で岩をぶっ放してくれんのかな~ちょっと聞いてきてよ」というんです。

 嫌やわ…でも、確かにその方が早い。そこで門前払い覚悟で、陸上自衛隊の留萌駐屯地に行ってみました。

 するとまさかの神対応。まず応接室でウェルカムドリンクばりに自衛隊内限定のお茶「整列休め」をいただき、さらに広報部のお一人が災害派遣の条件を丁寧に教えてくれたんです。

「我々は知事からの要請がないと動けないんです。今回は知事からバズーカー砲で岩をぶっ放せと要請はなかったもので

 そらそうやろ。で、さらにこう続けます。

「ただし阪神大震災以降、一刻を争う時は知事の要請がなくても出動できるようになりました。これを自主派遣と言います」

 丁寧な説明からこの方の誠実な人柄がうかがえますよね。で、「明日は増毛の飲み屋さんでライブとおっしゃっていましたが、お客さんの入りはどうですか?」と私の心配までしてくれたので、正直に答えました。

「スタッフさんは懸命に人を集めてくれてるんですが、お祭りとかぶって10人切ってます」

 するとどうでしょう。この方、おもむろにメールを打ち出しました。何してるのか聞くと「増毛の友人に動員を呼びかけました」というんです。まさかの人道支援!

 しかも、別の人が「自分も増毛に知人がいるので頼んでみます!」「私も!」「自分も!」。気がつけば留萌駐屯地広報部が総力を挙げて僕のライブを拡散…これには感激するしかありません。

 翌日のライブ直前、お客さんはスタッフ含めて15人。もう十分でした。僕は尽力してくれた皆さんに感謝の気持ちを込めて「はいどうも~」としゃべり始めようとしました。その瞬間、店の扉が開いて2人の男性が…なんと、留萌駐屯地広報部の方だったんです。そして1人の男性が照れ臭そうにほほ笑むと、こう言いました。

「自主派遣が適用されました」――。

応接室でいただいたお茶です

 コラアゲンはいごうまん 1969年生まれ。自ら体験した出会いやエピソードで観客に爆笑と感動を与える実録ノンフィクション芸人。著書に「実話芸人」(幻冬舎文庫)。


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