薄毛の原因となる男性ホルモンは…
テストステロンの話ばかりしている連載ですが、男性ホルモンの話をすると必ず「男性ホルモンが多いとハゲますか?」と質問を受けます。
男性医学の父と呼ばれた私の父・熊本悦明は若い時からハゲていましたが、講演会などでこの質問を浴びせられること数多。そんな時にも父は「頭が薄いことが恥ずかしいと思うなんて冗談じゃない。男らしいと自慢すべき」とキッパリと答えていました(ハゲと関係しているのはテストステロンではなくジヒドロテストステロンという男性ホルモンです)。
とはいえ、子供の私はザビエル仕様の父が恥ずかしく、運動会や参観日に来ることを猛烈に拒否していました。今振り返ると申し訳ございません。
そして妹にはこんなエピソードがあります。「もうすぐ父の日。お父さんの似顔絵を描いてプレゼントしましょう♪」という幼稚園での出来事。妹がさらさらと描き上げた絵を見た先生が、「どうしてお父さんの髪の毛を描かないの?」と詰め寄ってきたのです。妹は黙って下を向いていたのですが、先生は引き下がらず、「一緒に描こう」とゴリ押し。最終的には泣きながらお父さんに髪の毛を描き加えたのでした。「あの日の屈辱は忘れられない」と妹は今でも言います。でもその妹の描いた絵は、父の書斎に長らく飾られていたのでした。お父さんはうれしかったのかも!
テストステロンが高いからハゲるわけではありません。ただし、周囲の目を気にしない自己肯定感の高さはテストステロンの高さの証しと父を思い出します。