情報過多の時代に、記者も磨くよ〝選球眼〟
何でも野球にたとえるオジサン
日本ハムの新庄剛志監督が就任会見で言った「ビッグボス」が話題ですね。スポーツ紙のニュースを見ていると毎日どこかが「新庄ビッグボス」を報じていて、これはもはや流行語なんじゃないかという気がしてきます。
さて私の上司、つまりマイビッグボスはもともとプロ野球の取材記者だったこともあり、あらゆることを野球でたとえます。確実に仕事をすすめたいときは「送りバントで」、私が取材に出かけるときには「思いっきり(バットを)振ってこい」といった感じです。特にお酒が入るとこの傾向が顕著で、一緒に飲みに行くと〝何でも野球でたとえるオジサン〟が陽気に打席に立たない日はないと言っても過言ではありません。「いっそのこと〝何でも野球でたとえるオジサン〟としてnote用に記事を書いてくださいよ~」とお願いしているのですが、忙しくてつい忘れてしまうようです(苦笑)。
情報の〝選球眼〟ってなんだ?
つい先日のこと、書店を歩いているときに『情報の選球眼 真実の収集・分析・発信』(幻冬舎新書)という本に出会いました。「選球眼」という単語だけでかなり野球の匂いがします。そして、帯には「釣り球には手を出さず、好球は見逃さない。」との文字が躍っていますし、ルビの振り方も含めてこれはもう完全に野球ですよね。試しにウラスジ(=本の裏に書いてある内容紹介文)も読んでみましょう。
やはりちょいちょい野球が出てきてますね。これなら読みやすいかもしれないと思い、買って読んでみると……中は意外に広岡達朗監督並みの〝管理野球〟でした。
〝監督〟は二次情報、三次情報ではなく情報の発信元に会うことで、情報の価値は100倍になるとした上で、
おっしゃっていることは身にしみてわかりますが、新聞記者の私ですらキーマンを直接取材することは難しいと感じますし、ましてや何でも聞けるような関係を維持し続けることはもっと大変です。でも〝打席〟に立たなければヒットはおろかフォアボールで出塁する可能性もゼロのまま。もっと先まで読むしかありません。
正直言って、ここで「〝監督〟厳しすぎるよ~」と心が折れそうになりました。複数の情報源を確保して、比較した上で自分なりの仮説を立てることはとても大切ですが、英語を原文で読んだらきっと日が暮れると思ったからです(苦笑)。
しかし、この本の〝9回裏〟(?)に思わぬ展開が待っていたのです。
本音のディスカッションに最適な場所は居酒屋
「活用できなければ情報に価値はない」と銘打たれた第4章で、「待ってました!」と言いたくなるくらいの得意球が飛んできました。意識が高くてついていけないよと思ってた〝監督〟のまさかの一面を知ることができたのです。対話を重ねることで情報をブラッシュアップさせると説いた上で、
好球必打!今まで難しいことばかり言う〝監督〟だと思っていましたが、やっぱり飲みに行くし、飲みにケーションも重視してくれることがわかり、親近感がわきました(笑)。
ところで、〝監督〟の本業は投資家だそうですが一体どんな人物なのでしょうか? 最後の最後で、著者情報を見て納得しました。
そう、プロ野球にかかわるお仕事もされていたのです!やっぱり野球って奥が深いんですね~。私も少しずつ選球眼を磨いていきたいと思います。(東スポnote編集長・森中航)