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あの年と同じだった!アニメ「ウマ娘」第2話の史実を「東スポ」で振り返る

 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season3」の内容を史実と照らし合わせ、最新話をより楽しむ--そんな願いのもと、アニメと伴走しているのですが、前回のnoteでサクラバクシンオーの存在に注目し、興奮していた私がアホでした。第1話に登場したバクシンオーがキタサンブラックとの関係を強調していたので、距離適性について触れられるのでは?と予想したのですが、全然違うじゃないですか!(笑)。それどころかもっと上の感動を、さらに「そうきたか」という展開に、もはや感服するしかありません。というわけで、第2話のリアルを「東スポ」を使って確認しておきましょう。ゴルシも登場しますよ。(文化部資料室・山崎正義)

ネイチャ!

 ダービーでドゥラメンテに敗北し、その強さやスター性に「かなわない…」と絶望。同様に強くてキラキラしていたあこがれのトウカイテイオーのようにも「私なんかがなれるはずなかった」と涙したキタちゃん。落ち込む彼女を励ましたのが、ナイスネイチャでした。ネットでも「ネイチャ」がトレンド入りしましたが、まさか彼女がここで重要な役割を果たすとは、誰が想像したでしょう。アニメ内でドゥラメンテ骨折・菊花賞絶望のニュースが駆け巡った際、マチカネタンホイザが「なんだかネイチャの時みたいだね」と口にしたとき、私、声が出ちゃいましたもん。

「あっ…」

「あー!」

「あの年とリンクさせるのか!!」

 そうです。圧倒的な強さで2冠を達成したスター候補が骨折し、主役不在の秋がやってくる…ネイチャとテイオーの世代、1991年のクラシックと状況が似ているのです。あの春、まずはテイオーが5戦5勝で皐月賞を制します。

 完勝でしたから、ダービーの人気はダントツ。今はなき単枠指定でした。

 アニメでも触れられていた通り、大外枠をもろともしない圧勝劇。

 翌日の紙面はこうです。

 安田隆行ジョッキーの「3冠まかせろ」のコメントが見出しになっている通り、「スター誕生」「3冠濃厚」というレースぶり。まさにドゥラメンテのダービー後と空気感は全く同じなのですが! テイオーはレース直後に歩様が乱れ、すぐに骨折が判明、年内絶望となります。当然、大きなニュースになりました。

 というわけで、秋は主役不在。そんなときに〝夏の上がり馬〟として注目されたのがネイチャです。デビュー4戦目の若駒ステークスでテイオーと対戦し、完膚なきまでに叩きのめされ、その後、体調が整わずに春はお休みしていたのですが、夏の小倉で復帰すると条件戦を2連勝。さらに小倉記念(GⅢ)で重賞を制覇すると、勢いにのってトライアルの京都新聞杯(GⅡ)も勝ち、一躍、菊花賞の有力馬となりました。

「テイオーがダービーの後に骨折して」

「私も頑張ろう、菊花賞に出て勝つぞって。実際、そこから怒涛の4連勝、見事菊花賞の切符を手に入れました」

 まさにネイチャがこうアニメで話した通りの連勝劇。で、勇躍、名を連ねたその混戦菊花賞の馬柱がこちらです。

 なんとネイチャは2番人気! おそらくアニメと同じく気合が入っていたことでしょう。「主役不在」「テイオーがいたら」という空気に対し「ふざけんな」「私を見ろって」思っていたはずで、まさにキタちゃんと近い状況だったんですね。だからアニメで悩めるキタちゃんの話を聞いてあげたわけです。相談に乗ってあげられるのはある意味、ネイチャしかいなかったわけですが、いや~、やられましたね、これには。しかも、アニメでネイチャが菊花賞後のキタちゃんに向かってつぶやくじゃないですか。

「あんたもキラキラしてるじゃん」

 もう涙なしには見られません。だって、菊花賞のスタートまでは同じ状況だったキタちゃんとネイチャなのに、結果とその後は大きく異なるのです。レース前の印はむしろキタちゃんの方が薄かったのですが…

 キタちゃんはアニメ通り、内でじっとしていて、内から抜け出し、根性でしのぎ切るのです。

 ネイチャは菊花賞で4着となった後、その年の有馬でも、古馬になったGⅠでも、何度も何度も人気になりますが、結局、勝てませんでした。同期のスター・トウカイテイオーが奇跡の復活を果たした有馬で、10番人気ながら3着に突っ込んできたときは涙が出ましたが、やっぱり最後まで勝てなかった。そんなGⅠタイトルをつかみとったキタちゃんの今後がどうなるか、3話が本当に楽しみですよね。

ドゥラメンテ故障の裏で…

 先ほど、テイオー骨折の紙面を載せましたが、ドゥラメンテの骨折も大ニュースでした。ダービー直後だったテイオーと違い、ドゥラメンテの場合は、6月末になって放牧先で骨折が判明。

 思ったより扱いが小さいのは会見などが行われなかったこともありますが、ちょうど宝塚記念の日に発表されたからです。当然、紙面の中心はレースの結果を中心にせざるを得ず、ほどほどの大きさになってしまったのですが、まあ、それも仕方ありません。あの宝塚ではドゥラメンテの故障もかすむほど、とんでもないことが起きていたのですから。

 はい、ウマ娘でもおなじみのゴールドシップがやらかした〝伝説の大出遅れ〟。単勝1・9倍の1番人気に投じられた121億円がゲートが開いた瞬間に吹っ飛びました(苦笑)。公開された予告動画やあらすじによると、第3話ではゴルシが記者会見を開くようなので、何を発表するのか、ドキドキしながら待つことにしましょう。

小ネタ1 マックイーン

 ドゥラメント骨折の報を耳にして、メジロマックイーンがこう話す場面がありました。

「一緒に走りたくても走れない、その気持ちは私も分かりますわ」

 史実やアニメのSeason2の内容をご存じなら誰のことを言っているか一目瞭然でしょうが、これはテイオーのこと。1992年の天皇賞・春で初めて戦った2頭は、その後、互いのケガに翻弄されました。秋に再戦を誓ったものの、2頭とも骨折。翌年春、無事に復帰したマックイーンが現役最強馬としての道を歩みはじめ、秋、テイオーの復帰を心待ちにしたのに、今度はマックイーンが骨折、引退となってしまうのです。あの「分かりますわ」だけで私は泣きました。

唯一の対戦となった92年の天皇賞・春

小ネタ2 マチタン

 キタちゃんの悩みを聞こうとしたネイチャが「タンホイザが買ってきたんだけど」とお茶を差し出します。ネイチャ自身も「苦っ」なんて言っているそのお茶のパッケージが最後に映るのですが、名前は「蜘蛛茶」――これは1994年、ナリタブライアンが勝った有馬記念の朝、ジンマシンで出走を取り消したマチタンが元ネタでしょう。真偽は定かではないものの、当時、「蜘蛛を食べてジンマシンが出た」という情報があったのです。ホント、ウマ娘は芸がこまかいですよね。


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