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米大統領と親友だった覆面戦士【プロレス語録#7】

 全世界がその成り行きを見守っている、米国の大統領選挙。
 
 第39代大統領ジミー・カーター氏の親友として厚い信頼を受け、大統領直属の体育諮問委員長(日本でいえば民間大臣)としてホワイトハウス入りが浮上していたのが〝覆面戦士〟ミスター・レスリング2号だ。

この日の本紙にはレスリング2号にヘッドロックするカーター大統領の写真が載った

 2号の正体はジョージア州を中心に活躍した〝ゴム男〟ジョニー・ウォーカー。大のプロレスファンであるカーター大統領の母親が、ジョージア州のプロモーター、ポール・ジョーンズ氏と親交があったことから知り合い、カーター氏がジョージア州知事だった頃から家族ぐるみの付き合いがスタート。2人は政治家と覆面レスラーという、意外な取り合わせの親友となった。

 1980年といえば、カーター氏が再選を目指していた時期。2号は「もしジミーが今秋11月の大統領選で再選されれば、オレは重要な仕事を請け負うことになるだろう。ジミーのスタッフになったらプロレスを辞めるかって? もちろん重要な選択を迫られることになるだろう」と、大統領のブレーンとしてホワイトハウス入りすることをにおわせていた。

 強盗やテロリストを除き?史上初めて覆面をしてホワイトハウスに出入りする人物の誕生に期待が高まったが、秋の大統領選で勝ったのは共和党代表のロナルド・レーガン氏だった。

女性にモテたホーク・ウォリアー(90年7月、新千歳空港)

 カーター政権下で副大統領を務めたウォルター・F・モンデール氏の愛娘も、90年代にホーク・ウォリアー(故人)との交際話が浮上するなど、カーター政権は何かとプロレスと縁が深かったといえる。



 昨年7月28日、82歳で亡くなった〝神様〟カール・ゴッチが2度目の来日を果たした時のコメント。本紙記者から俳優のカーク・ダグラスに似ていることを指摘され「アメリカでは映画俳優、日本へ来たらレスラーだ」と続けている。

 力道山時代の1961(昭和36)年以来の来日。ゴッチと日本のエース・ジャイアント馬場によるインターナショナルヘビー級選手権が予定されていた。

 7月14日午後5時10分。JAL51便で羽田空港に到着したゴッチは、空港に出迎えた愛弟子のヒロ・マツダ夫妻と再会。

 空港会見を終え、ホテルニュージャパンにチェックインするや、いきなり外国人係のジョー樋口レフェリーを捕まえ「ユーはいい体をしている。レスリングをやったことがあるそうじゃないか。オレの新しい技の実験台になってくれ」と、強引に上着を脱がし、ヘッドロック、フェースロック、ネックブリーカーの変型技を披露。夜は横浜市鶴見区のマツダの実家に招かれ、朝までビールを飲み明かした。

ジョー樋口にデモンストレーションのゴッチ(66年7月、ホテルニュージャパン)

 翌15日には「サマー・シリーズ開幕戦」(渋谷・リキパレス)に出場しミツ・ヒライを一蹴。連日の巡業でも恐るべき強さを見せつけ、タッグマッチでは馬場を回転エビ固めでフォール。

 いよいよインター王座挑戦の機運も高まってきたが、8月4日の愛知・半田大会で負傷した右ひざの傷から細菌感染し、静岡・掛川市内の病院で緊急手術。そのままシリーズをリタイアすることになり、ファン待望の「馬場VSゴッチ」のインター選手権は幻に消えた。

タッグでは何回か対戦したゴッチと馬場さんだったが…

※この連載は2008年4月から09年まで全44回で紙面掲載されました。東スポnoteでは写真を増やし、全22回でお届けする予定です。

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