武藤敬司が語る長州力&ロード・ウォリアーズ【スーパースター烈伝#4】
はじめに
九スポ(九州スポーツ)でしか紙面掲載されなかった好評企画がnoteで復活!「武藤敬司のプロレススーパースター烈伝」では〝プロレスリングマスター〟武藤敬司が歴史に名を刻んだレジェンドレスラーたちをタブーなしで語ります。(運動二部・前田聡)
※長州力編は2021年1月12日、ロード・ウォリアーズ編は20年12月3日に九州スポーツ紙面で掲載されたものをnote用にまとめ直したものです。
サソリ固めで武藤を攻める長州
俺と橋本は長州さんのこと「カブトムシの雌」って呼んでた
長州さんといえば、俺が新日本に入った時に一度、ジャパンプロレスで出ていったんだよ。1984年9月か。俺は4月に入ったからそのすぐ後だったな。
長州さんたちがいなくなった時はちょうど、橋本(真也)と(ドン)荒川さんとその知り合いとでメシ食って遊んでたんだよね。それで夜中に寮に帰ったら坂口(征二)さんたちが待ち構えててさ。てっきり俺と橋本がジャパンに行ったと思ったらしくて「お前ら行かなかったのか」って感激されて、何か月かすげえ優しくしてもらえたんだよな。何か月か(笑い)。
リングで藤波に噛みつく長州。いわゆる噛ませ犬事件(82年10月8日)
レスラーとしての長州さん? カリスマでしょ。まだレスラーになってない頃、例の「噛ませ犬発言」とかあって、ブラウン管で見てて「かっこいいなあ」と思ってましたよ。1つのトレンドを作ったよね。一時期みんなラリアートしてたもんなあ…。ただ、俺ら(闘魂)三銃士からしてみたら目先のコブだったから、ぜってえラリアートだけはしなかった。ちなみに俺とか橋本とかは「カブトムシの雌」って呼んでたんだよ。見た目そんな感じじゃん。この間本人にも言ったけど、ピンときてなかったな(笑い)。
カブトムシの雌と長州力
リング上で対角線に立つようになったのは1990年代だな。当時は長州さんが俺のことをすごい嫌がった。「間が合わない」って。「攻撃と攻撃の間にコーヒー飲みながら東スポ読んで一服できる」って今でも言ってるよ。俺は別にそんな嫌な感じはなかったけどね。長州さんって、性格そのままでプロレスがせっかちなんだよ。
1992年8月には(グレート)ムタが長州さんのIWGP(ヘビー級王座)に挑戦したけど、あの試合でムタは〝上がった〟と思うよ。ベルト取ったからね。武藤より先だったんだよな。あの試合、終わった後にムタが消火器をまいちゃってさあ…。長州さんも死にそうになってたよ。後で知ったんだけど、消火器って、空気をなくすんだよ、火を消すために。だからみんな酸欠になってた(笑い)。
倒れている長州に消火器を噴霧するグレート・ムタ(92年8月)
プライベートの長州さんは憧れない(笑)
プライベートの長州さん? 憧れないな(断言)。90年代のある時期、巡業中によく一緒に麻雀をしたんだよ。同じ本隊にいたからだけど。将棋を打つみたいに遅くて遅くてさあ。しかも確率が悪い方に張ったりするんだよ。普通考えられないけど、それであがったりもするんだよな。まあ、そういう感性の人に現場監督を任せていたこと自体がねえ…。まあ、あの頃は材料がそろってたから、誰がどう料理したって良かったんじゃねえか?(笑い)。
あとは普通なら点棒がなくなれば「飛び」なのに、ほかの台から盗んで入れたりしてたなあ。ズルいんだよ。当時の新日本の麻雀って、リング以上に殺気ばしってるんだよ。坂口さんなんかすぐ怒るしさ。相手が社長だろうが星野(勘太郎)さんとかかみつくからね。しょっちゅうケンカになってたから。その状況でやるんだもん。参っちゃったよ…。
最近の長州は独特のツイートでネットの寵児となっている。フォロワー数はなんと56万人超だ(21年4月末時点)
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