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羽生結弦フィーバーはまだまだ〝プロローグ〟かもしれない

 フィギュアスケート男子で五輪2連覇を果たし、プロに転向した羽生結弦による自身初の単独アイスショー「プロローグ」は5日に千秋楽を迎えた一方で、私は確かな〝フィーバー〟ぶりを実感した。

人人人…満員で埋まったぴあアリーナMM(22年11月、横浜、カメラ=森優斗)

 2都市5公演はいずれも大盛況。11月4日の神奈川・横浜公演と12月5日の青森・八戸公演に足を運んだ私は、いずれも想像を絶する反響に驚かされた。横浜公演の開演前から会場周辺のトイレには長蛇の列ができており、東京駅では羽生の巨大広告の前で記念撮影を行うファンの姿が多数見受けられた。「さすが羽生選手」だなと思ったのもつかの間、八戸公演はさらにすごい事象があちこちで起きていた。

くまのプーさん天然水が並んでいた

 八戸公演に向けて、東北新幹線を管轄するJR東日本は増便を決断。八戸駅では構内で「くまのプーさん」のラベルが貼られた飲料水が販売された。ある店員の「羽生選手のアイスショーに合わせて入荷しました。多くのファンが購入してくれています」との話を聞き、すぐさま記事化したものの、まだ序の口だと知る由もなかった。

 午前11時頃になると、構内の観光案内所に多数のファンが並んでいた。気になり窓口の方に事情を聞いたところ「八戸駅にはロッカーがそんなにないので、みなさん荷物を預けに来ていました」と教えてくれた。待合室のスペースが狭いことから構内には約60のパイプ椅子が置かれ、多くのファンが一休み。同駅の関係者によると、今回のアイスショーのために設置されたという。

 経済の面でも大きな効果をもたらしていた。アイスショー後には大勢のファンがお土産を購入。普段は午後4時に閉まる構内のお土産売り場の営業時間も延長された。ある販売員は「おかげさまで売り上げが普段の数倍違います」と満面の笑み。待合室横にあるお土産屋の従業員も「普段と全然違いますね」と目を細めた。

 5日のアイスショー後には「自分1人でやるショー自体が、みなさんに受け入れていただけるかという不安の中でのプロのスタートだった」と複雑な胸の内を明かしていた羽生。だが、その心配は杞憂に終わった。改めて羽生の存在感の大きさを目の当たりした取材となった。

 今後は東京ドームでスケーター史上初となる単独アイスショー「GIFT」を来年2月26日に開催。大手イベント会社の関係者も「1人で公演を行うのはすごいと思う。ほとんど記憶にないし、スポーツではなおさら記憶にないですね」と舌を巻くビックイベントでは、果たしてどんな〝フィーバー〟が起きるのか。東スポらしく、多角的な視点で取材させていただきます。(運動2部・中西崇太)


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