紺野ぶるま『「中退女子」の生き方』出版記念〝アナザーインタビュー〟
5月27日に2冊目の著書となる『「中退女子」の生き方』(廣済堂出版)を上梓したお笑い芸人の紺野ぶるま。紙面インタビューでは自身が抱える学歴コンプレックスについて明かしたが、かつての〝チ○コなぞかけ〟連載担当記者にはもっともっと多くを語っていた。東スポnote限定の〝アナザーインタビュー〟をお楽しみください。(デジタル・事業室 森中航)
売れなかったとしてもお笑い芸人になって良かった
――高校を退学させられて、どんな疎外感を味わった
ぶるま 日本の教育機関って不良にも結構優しくて、私の場合は「強制退学」ではなく「自主退学」という形に収めてもらったおかげで、編入試験を受けて通信制高校に入ったんです。月に1回通って、あとはレポート提出で単位が取れる。ただ、本にも書きましたけど,、私が通っていた学校は少し変わってて、月1の授業内容が「クリスマスツリーに飾り付け」とか「手作りダーツで遊ぼう」とかで登校するたびに頭がおかしくなりそうだったのも事実(苦笑い)
――お笑い芸人になりたいと思った瞬間は
ぶるま 通信制高校を卒業して、勘違いしてモデルを目指したらレッスンやら宣材写真で100万円だまされて心身ともに疲れてたころですね…。暗い部屋でテレビを見てたら「爆笑レッドカーペット」(フジテレビ系)にくまだまさしさんと鈴木Q太郎さんが出てきたんですよ。ブルマパーティーっていうネタで、2人が息を吐くとピュッと伸びる昔ながらのおもちゃを頭につけながら、1枚のブルマをピカチュウにならないようにはくというもので、とにかく一生懸命過ぎる姿を見て、「私もこんな大人になりたい!」って(笑い)。くまだまさしさんとの共演は約6年後にかないました。
――とはいえ、お笑い芸人も誰もが成功できるわけではありません
ぶるま そうですね。芸人もつまらないと肩身狭い空間がありました。でも、私の場合は売れなかったとしてもお笑い芸人になって良かったと思うんです。なぜならお笑いという夢を持つことで人生の軌道修正ができたから。「芸人やめて就職しなさい」って母親に何度も言われてケンカしてきましたけど、この道に進めて良かったなって。
3年連続で決勝に行ったのに0点だった爆弾級の恥ずかしさ
――「R―1グランプリ」や女芸人ナンバーワン決定戦の「THE W」など賞レースでは、何度も決勝の壁にはね返されました
ぶるま 去年、「R―1」のラストイヤーが終わったんです。最後の1、2年はネタがうまくできなくてちょっと無理してたなって思います。私は初めて決勝に行くまで7年かかってるんですけど、最初のころの目標が「3回戦突破」で控えめ過ぎたのがいけなかった。「決勝進出」でも足りなかった。2017年に初めて決勝に進出できて、18年も決勝行けても「また負けたらどうしよう」って不安が出てきてしまっていたし…。多分、目標を「R―1 3年連続優勝」くらい高く掲げたほうが良かったんですよ。
――ぶるまさんが優勝したら記念インタビューだと、毎年ハラハラして見てました
ぶるま 2019年の「THE W」なんて3年連続の決勝だったのに0点でしたからね~。私が決勝でもらった点数って本当に毎回散々でした(笑い)。
――ええ、もはやなんて声を掛けたらいいのかわからないレベルで、あえて連絡しませんでした
ぶるま 言いすぎでしょ~! でも今は「3年連続で決勝に行ったのに0点だった爆弾級の恥ずかしさ」を知っているのは私しかいない、これは私の宝物だってポジティブに捉えてますから。賞レースは順位がつくから楽しいし、やりきった感はあります。
心の風邪をひいたときには「お笑い」を!!
――最近はラップも得意にしているそうですね
ぶるま 超楽しかったです。リズムに乗らなきゃいけないのが難しいけど、ラップって人間性が大事じゃないですか? 私はやっぱり学歴コンプレックスがあるから「頭悪い」とか「バカ」って言われるとムキになっちゃいますけど。
――ぶるまさんの鋭い観察眼が生かされている
ぶるま 小学生のときから女の人のクセとか見るのが好きでした。
自分も決して同性から好かれるタイプではないですが、「女から嫌われている女」って観察するとすごく面白いんです。とことんブレない姿勢とか。あとヤンキーじゃなかった人ほど「ヤンキーっぽい」って言うと喜ぶ、とか。だから喜んだらヤンキーじゃなかったんだなって分析したり。男の人も割とヤンキーにあこがれありますよね!?
――世の中に「ヤンキーだったのにいい人」みたいな持ち上げ方があるからじゃないですか
ぶるま あるある! 私もギャルだったときに近所の人にあいさつするだけで「偉いわね」って言われましたもん。ヤンキーが更生すると「あのコいいこね」ってなりがち。私は道を踏み外さないフツー人が偉いと思っています。決して「中退女子」になれと言ってるわけじゃありません(笑い)。
――つらいことや悲しいことがあったら…
ぶるま お笑いを見る。自己啓発本を読む。早く寝る。心の風邪にはこの3つがいいと思います。