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〝白ポスト〟の中をどうしても見たくなって…奇策で大勝負!

 何度読んでも面白い! じわじわと、確実に、売れ始めているような気がしないでもないドキュメンタリー芸人・コラアゲンはいごうまんの〝実録〟を復刻しています。

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 有害図書を回収する「白ポスト」ってご存じですか? 子供の目に触れさせぬよう、エロ本などの投函を促す…つまり、白ポストの中はピンクまみれ。そんなポストを全国ツアー中の某都市で見かけて僕は思ったんです。

「中が見たい」

 しかし、設置したのは青少年教育センターという恐ろしく堅そうなところ。正面からお願いしてもまず無理だと確信した僕は、とある策で勝負に出ました。まずコンビニでエロ漫画誌「ローレンス」を購入。次に白ポストに投函。そして、青少年教育センターに行き、「投函したものの、やっぱり惜しくなったんでローレンスを返してほしい」。アホみたいやけど白ポスト開けてもらうにはこれしかない…。

 言うてみるもんですね。対応した芋洗坂係長似の所長さん、真摯に僕の話を聞いてくれて「取りにいきましょう!」。マジ!? 思わず「僕のこと、変な人って思わないんですか?」と聞くと「全然」と。そして諭すように「失って気づくこともあります」と。い、いや、そんな話ちゃうんやけど…。揚げ句、早い方がいいと車まで出してくれましてん。

 ここまでやっておきながら、えらいもんで良心の呵責が始まりました。こんないい人を自分の欲のためにだましている…。白ポストに向かう車中、ついに堪えきれず「所長、実は…」と素性も理由も正直に言うてしまいました。

「つまり中を見るためにすべて作為的にやったってこと?」

「申し訳ございませんでした!」

 会話が消え、重苦しい空気が車内に充満したその時、ミラー越しに所長は言いました。

「おもしろい」

 え?

「文句はある。でもネタとしては文句なし! 頑張ってください」

 現場に着くと車内待機を命じられたためポストの中は見れんかったんですが、それはもうどうでもいいですわ。白ポストを開け、ブツを発見すると律儀に「ローレンス!」と指差し確認してる所長を見て思いました。世の中捨てたもんやない。

その時のローレンス

◆コラアゲンはいごうまん 1969年生まれ。自ら体験した出会いやエピソードで観客に爆笑と感動を与える実録ノンフィクション芸人。著書に「実話芸人」(幻冬舎文庫)。

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