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地縛霊を笑わせろ!トンデモ指令にガチで立ち向かった男

 自らの体験談を漫談にする唯一無二のドキュメンタリー芸人にして、「笑点」にも抜擢された春風亭一之輔からも高い評価を得ている「コラアゲンはいごうまん」の東スポコラムをこの秋、復刻させちゃいました。その名も「ネタちゃいまんねん ガチでんねん」。2017~18年に連載され、「読むだけで気が楽になる」と読者に好評を博した連載です。

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「来週までに霊体験してきなさい」

 これはある日、僕が所属していたワハハ本舗の演出家・喰始(たべはじめ)から出された指令です。ただでさえ霊感ないのに、来週の事務所ライブに間に合わせろて…相変わらずのムチャぶりに困惑しながら尋ねましてん。

「ほな心霊スポットで写真撮ってきましょか」

 すると喰さん、眉ひとつ動かさず「地縛霊を笑わせてこい」って、できるかい! 笑いに来てる寄席のお客さんの前でもスベるのにこの世に恨みを残した地縛霊にウケるわけないですやん。

「そもそも肝心な反応が見えないじゃないですか」と訴えてみたんですが、「反応は霊能力者に見てもらいなさい」。このお笑い暴君は誰も止められません。かくして女性限定ライブならぬ地縛霊限定ライブ実現のため、クソ真面目な僕は血まなこになるのでした。

 まずググったところ岐阜に日本霊能力者協会があることが判明。すがる思いで連絡したらなんと!会の代表・松居泉典会長が3日後、長良川の河川敷で地縛霊を呼び寄せてくれるというんです。

「見て下さい。3名いらしてますよ

 当日、松居会長が指さす方を見ると、そこには数本の草が風にそよぐのみ。しかし、ここまで協力してくれはった会長を信じるしかありません。はたから見たら変やったやろうけど、僕は自爆霊、いや、草に向かって「はいどうもー」と漫談を始めました。隣で松居会長が草の反応をチェック。これ、ひいき目に見てもアホや…。

これがその時の草です

 ただ、こっちも必死です。草に対して、勝負ネタの新興宗教に潜入した話を繰り出し、会長に聞いてみました。「地縛霊3人の反応はどうですか?」。ほな、「1人減って2人になってる」と。地縛霊にもスベっとるやないか!

 このトホホな結末にガチでヘコんでいたところ、会長がこんなフォローしてくれました。

「元気出して! 君のネタは除霊ができるんだから

 ◆コラアゲンはいごうまん 1969年生まれ。自ら体験した出会いやエピソードで観客に爆笑と感動を与える実録ノンフィクション芸人。著書に「実話芸人」(幻冬舎文庫)。11月13日、横浜にぎわい座で「第二十回 コラアゲンはいごうまん・春風亭一之輔 二人会」を開催する。

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