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刑務所の慰問ライブ 700人の受刑者を爆笑させた伝説のコンビ

 24日に独演会を成功させたコラアゲンはいごうまん。自らの体験談を漫談にする唯一無二のドキュメンタリー芸人による「東スポ」連載を復刻しています。

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 テンパった時に出る失言ってありますよね。今回は、芸人5組で某刑務所に慰問ライブに行った時の話です。

 あの日は、既に打ち合わせの時点で波乱含みでした。なんせ、刑務所所長が開口一番、「うちはレベル高いですよ」。なんの? 聞けば、そこの受刑者は全員累犯者にして凶悪犯、つまり犯罪者としてレベルが高いというんです。会場に行くとそんな人が700人!

 しかも、ライブ直前、看守が700人に叫びました。「全員、黙祷!」。なんでや~。今から笑わさなあかん相手が更生誓って瞳閉じてるんですよ。やりづらいわ~。

 ド頭は僕を含む3人で会場の空気をあっためようとするものの人っ子一人笑いません。そしてスベり続けて15分が経った時、3人のうちの1人、NAMARA(新潟を拠点に活動するお笑い事務所)の江口代表が極度にテンパって劇的な失言を放ちます。これからまだ何年も塀の中で過ごす受刑者の方々に「今週末に事務所ライブやりますので間に合えば来てください」…間に合うかー! レベルの高い700人に見たことない怖い顔でにらまれた3人でありました。

 が、しかし。この話には続きがあって、失言による大炎上を鎮火したコンビがいますねん。それは脳性マヒブラザーズ。ボケ担当DAIGOとツッコミ担当周佐はともに脳性マヒ。自らの障害すらネタにする2人に700人が爆笑したんです。ひょっとしたら彼らの姿に塀の中の不自由さを重ねたのかもしれません。

脳性マヒブラザーズ

 ネタ終わりの舞台上ではDAIGOがこんなことを語り出しました。「障害を恨んだこともある。でもそれを笑いに昇華したら気持ちが楽になった。大なり小なりみんな障害を抱えてる。だからこそ僕は言いたい。障害は心を豊かにするんです!」。

 受刑者が泣いた。看守も泣いた。みんなが泣いた。笑わせて笑わせて最後は泣かす。脳性マヒブラザーズはもはや藤山寛美の域なのでしょうか。それにひきかえ、15分スベり散らかして受刑者怒らせた僕ら3人っていったい…。

◆コラアゲンはいごうまん 1969年生まれ。自ら体験した出会いやエピソードで観客に爆笑と感動を与える実録ノンフィクション芸人。著書に「実話芸人」(幻冬舎文庫)。

https://twitter.com/collagen_haigo?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor


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