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ゴルシも!芸が細かいアニメ「ウマ娘」東スポ的〝復習・予習〟

 先週のアニメ「ウマ娘」第3話はゴールドシップが大暴れ。予想外の馬名を口にするなど、ネットでも大いに話題になりましたが、競馬の史実と照らし合わせつつ伴走する当noteとしても、細かい部分で唸らされる神回でもありました。キタサンブラックとの最初で最後の直接対決をはじめとした当時の様子を、「東スポ」で振り返りつつ、第4話を待ちましょう。(文化部資料室・山崎正義)

ゴルシ

 第3話は完全に〝ゴルシ回〟でした。有馬記念を前にして、トゥインクルレースからの引退を発表。せっかくなのであの年のそこまでの流れを本紙の写真と紙面を使っておさらいしておきましょう。まずは天皇賞・春。ファンファーレが鳴った後、なかなかゲートに入らないゴルシは、ファンを4分待たせます。

 2番人気でしたから、競馬場もWINSもざわめきました。誰もが「気まぐれゴルシ」「今日はこない日かな」と思ったのですが…

 普通に勝ちます(笑い)。で、続く宝塚記念は前年も勝っているレースでこれといったライバルもいなかったため1・9倍の圧倒的支持を得ました。ただ、結果は前回も書いたように…

 このあたりは第3話でも「宝塚でやらかした」などと触れられていましたよね。で、秋になり、ジャパンカップでは普通にスタートは出るのですが、惨敗します。

 というわけで、アニメ同様、ラストランだと表明して有馬記念に向かうのですが、当時はまず、ジョッキーが替わることにちょっとウルッとしました。気まぐれが悪化してからゴルシの機嫌を取りつつ、上手になだめてきた名手・横山典弘ジョッキーに替わり、3歳から4歳秋にかけて主戦だった内田博幸ジョッキーに手綱が戻ったのです。誰もが3歳時の有馬を思い出しました。アニメでゴルシも「みんなねじ伏せてやった」と言っていましたけど、そりゃあもうすごかったですからね。初の古馬相手、小回りの中山競馬場の形態なんてお構いなしの大マクリの差し切りでしたから。

 ただ、引退レースのときには既に6歳の年末。「肉体的にも精神的にもピークは過ぎた」という見方が一般的だったので印はつきません。

 すごいのはこの印で単勝が1番人気だったこと。あれだけのことを宝塚でやらかし、ジャパンカップも10着に大敗しているのにこれですから、いかに人気があったかが分かります(ファン投票も1位でした)。で、〝要注意ホース〟だったゴルシは、ファンファーレが鳴ると真っ先にゲートに入るように指示され、すぐには入らず(苦笑)、アニメ同様、黒い覆面をされてゲートイン。そしてスタートを普通に切ったものの道中は最後方を進み、向こう正面を過ぎて3~4コーナーに向かう頃、突然、全盛期のようなマクリを見せるのです。アニメでも全く同じように描かれましたが、あのときのファンの興奮たるや…。しかも、やるかと思ってやらないエンターテナーぶり!

 アニメでレース後にマックイーンが「8着なのに一番目立ってますわね」と言っていた通り、現実でも、レース後に引退式を行い、一番目立っていました(笑)。

 この有馬記念に史実でもしっかりキタサンブラックが名を連ねていたことからヒントを得たのかは分かりませんが、アニメ「ウマ娘」のすごいのは、2頭の間で「引退レース」「有馬記念」という要素を〝伝承〟させたこと。この2つの要素は今後のキタちゃんに、なんならダイヤちゃんも一緒になって大いにかかわってくると思われます。ちなみに、アニメでは、有馬に向かうゴルシがこう話すシーンがありました。

「前々回の有馬は暴君に、前回は貴婦人に持っていかれたからな」

 ゴルシ4歳時の有馬記念は「暴君」オルフェーヴルがぶっちぎり。

 ゴルシ5歳時の有馬記念は「貴婦人」ジェンティルドンナ

 この2頭の名前がアニメの最後でしっかり出てきたこともネットをザワつかせましたが、忘れちゃいけないのは、オルフェもジェンティルも、有馬記念が引退レースだったということ。しっかり〝意味〟を持たせているように感じるのは私だけでしょうか。

有馬記念小ネタ

 あの有馬記念では、アニメ同様、逃げて3着となったキタちゃんをかわし、2着にはサウンズオブアースが入りました。チームカノープス入りが明らかになったこの馬が、カノープスのメンバーが1回も勝てなかったGⅠを制することができるのか、今後に注目です。なお、アニメのレース前には解説の山本さんが「姉妹対決も見もの」と口にしていましたが、それはおそらく、マリアライトとリアファルのこと。先ほどの馬柱をご覧いただけば、お母さんが同じだというのがお分かりいただけると思います。

ダイヤちゃん

 第3話ではついにサトノダイヤモンドがデビューしました。キタちゃんの菊花賞勝利後にデビューしたという時系列も史実通り(菊花賞の翌週でした)。その走りはド級のインパクトで、新馬勝ちの中でもかなり大きな扱いになっています。

 アニメで有馬記念前日に2勝目を挙げたことが描かれていますが、恐ろしいことにそこもまた時系列通り。2戦目の馬柱の上にある日付をご確認ください。ゴルシ引退の有馬は12月27日。このレースはしっかり前日に行われています。

 特別戦ではなく平場で確勝を期したダイヤちゃん。さあ、年が明け、いよいよクラシックを歩み始めます。サトノ家悲願のGⅠ制覇なるか、一緒に応援しましょう。


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