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お酒大好き矢野通「オレは36時間飲み続けたことがある!」【豪傑列伝#3】

酒とは切っても切り離せぬレスラー、それが矢野通だ。三度のメシより酒が好き。一見すると単なるアルコール中毒にしか映らない…。そんな矢野の酔いどれ人生は、栄光の日本大学レスリング部時代に幕を開ける。

【矢野の話】酒との出合いは大学に入ったばかりのころ…い、いや、20歳になった大学3年からだ、バカヤロー! とにかく当時は先輩の言うことは絶対だったから、相当飲まされたよ。とは言ってもオレは最初から強かったみたいで、いきなり日本酒一気とかしてたけどな。15本とか飲んでたな。当時は毎日朝5時まで飲んで、それから練習していたから、その2つの思い出しか残ってないよ。

名酒「鬼ころし」は矢野の必殺技でもある

典型的な体育会系の飲み会。しかし、これで矢野の本能が目覚めてしまう。矢野はすっかり酒の魔力に吸い寄せられた。レスリング部の合宿所のある江古田から電車に乗るときもウオツカの瓶を携帯し、車内で飲み干す。ある種、社会の害だ。

それでも鍛えられた(?)肝臓は、プロレス入り後に思わぬ形で役に立つ。デビューから2年がたった2004年、矢野はついに本性を現し、酒飲みキャラに転身。リングに持ち込んだ酒を“凶器”として活用する術を見いだした。

【矢野の話】まあそのほうが自分をうまく出せると思ったからな。アル中以外の何者でもない? うるせえ! とにかくあのころは毎日飲んでたからな…。巡業中も曜日感覚がちょっとおかしかったかもしれない。そういえば成瀬(昌由)さんとやった時(05年1月23日後楽園大会、アジアタッグ選手権試合)に酒だるに頭から突っ込んだこともあった。あれは鼻から入った酒が逆流して本当に苦しかったらしい…。今でも成瀬さんに会うと(文句を)言われるよ。

永田裕志(左)に禁酒を注意される矢野(2004年6月、岡山・倉敷)

その後、矢野はヨーロッパ遠征を経験し05年5月に帰国。以来「純粋に強さを見せたいというか…」と、ほかに何か深いワケがあるとしか思えない表向きの理由でリング上での酒を封印している。

とはいえ、あくまで公私の別をわきまえただけであって、酒への愛情が薄れたわけでは決してない。現在も一度リングを下りれば昼夜問わずに酒を愛し続ける矢野には、途方もない夢がある。

【矢野の話】一回やりたいのはレスラー同士で「何時間飲み続けられるのか」という大会。酒が強い人、多いから。飯塚さんも強いし、ブルー・ウルフもムチャクチャ強かった。団体問わず、広くレスラーを募りたい。オレは大学時代に36時間飲み続けたことがある。前の日の夜から飲んで、その次の日の昼まで…。最初は5人で飲み始めて、その後メンバーは入れ代わり立ち代わりになったけどな。

現在リング上で展開される新日本VSノアの対抗戦には目もくれず、誰もが予期せぬ番外対抗戦をぶち上げる矢野。「オレにとって酒とは? そうだな、血液かな? な、何か川島なお美みたいになっちまったな…」。こと酒に関しては数々の武勇伝と誰にも負けぬ愛情を持つ金狼は、今日もどこかで心地よく酔っているはずだ。

※この連載は2009年4月~2010年3月まで全33回で紙面掲載されました。東スポnoteでは当時よりも写真を増やしてお届けします。

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