見出し画像

ゲームもコロナも性行動と関係があるってホント!?

 性に関する医学論文は読んでみると興味深いものばかり。ペニスのサイズや女性のオーガズムに関するものも多いですが、中には、ある行動とセックスに関する関係や、世の中の状況と性行動の関係を研究するものもあります。今回は、男性専門外科クリニックで働く現役医師・吉江秀和氏に、そんな論文を2つ紹介してもらいましょう。雑談のネタにもなるので、読んで損はナシ!

ゲームと性欲

「性欲がない」「なかなかイケない」という相談を受けることが多いです。そんなとき、私は「原因はコレ!」と決めつけないようにしています。性欲や射精には、本当に様々な要素が関係してくるからです。

 例えば、テレビゲームが影響を与えている可能性だってゼロではありません。2017年のイタリアの研究で、ゲームを1日1時間以上している男性は、していない男性より早漏になりにくいことと、性欲が低下する可能性があることの2つが分かったんです。

画像1


 ローマの大学による研究で、ゲーマー男性287人(平均年齢27歳)、非ゲーマー男性109人(同28歳)の計396人を対象に、勃起機能、早漏、オーガズム機能、性の満足度など性機能のスコアをアンケート調査を実施。その結果、ゲーマーは早漏スコア、早漏の有病率がともに低く全員早漏なし、非ゲーマーは38%が早漏判定というものでした。また性欲に関するスコアは非ゲーマーよりゲーマーの方が低いことが分かりました。ゲーマーは非ゲーマーより早漏になりにくく、性欲低下の可能性があると判明したのです。

 その理由について研究者らは、ゲームに熱中しているときに脳内に放出されるドーパミンという快楽ホルモンが関連しているのではと考察しているようです。ドーパミンは射精とオーガズムにも関連していると言われています。つまり、ゲームによって普段からドーパミンのピークが繰り返されているゲーマーは、その刺激に慣れてしまい、射精反射の遅れと性欲の低下を引き起こしているかもしれないのです。あるいは、「ビデオゲームのストレス」がプロラクチンというホルモンのレベルの上昇につながり、それが性欲および射精を妨げている可能性も指摘されています。

 この論文は調査協力者をSNSで募集していて、偏りがある可能性があり、さらなる検証が必要と言えますが、性機能にはいかに様々な要素が関係しているかが分かる調査ではないでしょうか。

コロナ禍とセックス

 続いては昨年から続くコロナ禍と性の関係をピックアップしてみましょう。コロナウイルス蔓延以降、女性とのコミュニケーションの場が減ってしまった人、家にいることでパートナーとの時間が増えた人…様々だと思います。後者の場合、当然、セックスに結び付くこともあるでしょうが、こんな世の中の状況だからこそ、肌と肌を合わせる機会は増やした方がいいのかもしれません。実は、こんな調査結果が出ているんです。

 今年1月、コロナ自粛(ロックダウン)が性的な健康にどう影響を及ぼすのか、また、ロックダウン中の性活動がどのように心理的に影響するのかを調べた論文が発表されました。

画像2

 イタリアで、2020年4月7日から同5月4日まで「Sex@COVID」と名付けられた匿名のオンラインアンケート調査が行われ、6821人(男性2644人、女性4177人)を調査。ロックダウン中に、①セックスを活発にしていた人(2608人=男性985人、女性1623人)②セックスしなかった人(4213人=男性1659人、女性2554人)の2グループに分けて比較し、性活動の影響について調べました。その結果、① グループは、②グループに比べて不安と抑うつ症状のスコアが低いことが分かりました。つまりセックスしていた人の方が、不安やうつ症状が少なかったということです。

 また、ロックダウン中にセックスがない場合、不安とうつ病を発症するリスクが高いことも分かりました。特に、女性でパートナーがいない場合、不安とうつ症状が出やすい危険因子である可能性が示されました。

画像3

 これは、コロナなどのパンデミックによる心理的苦痛や人間関係の問題を、セックスがカバーしてくれるのでは?というように見えてきます。インターネットでの調査であることと、研究対象者のほぼ半分がコロナが最も深刻だったイタリア北部と対象者に偏りがある可能性があり、さらなる研究が必要と言えますが、セックスの大切さを唱えている一人として、大変興味深かったです。なお、この記事はコロナ禍で不特定多数との積極的な性行為を推奨するものではありません。

 吉江秀和(よしえ・ひでかず)医学博士、大手男性専門クリニック本院院長。男性医学の第一人者である熊本悦明氏が立ち上げた「東京テストステロン研究会」に所属し、共に男性医学の啓蒙を行っている。人気サイト「ペニス偏差値チェッカー」も主宰。


【引用論文】

Sansone A, Sansone M, Proietti M, et al. Relationship Between Use of Videogames and Sexual Health in Adult Males. J Sex Med 2017;14:898–903.

Mollaioli、Daniele et al.”Benefits of Sexual Activity on Psychological, Relational, and Sexual Health During the COVID-19 Breakout”J Sex Med . 2021 Jan;18(1):35-49.

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

カッパと記念写真を撮りませんか?1面風フォトフレームもあるよ