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私は整理記者でデザイナーで、ちょっとブルー

こんにちは。はじめまして。今回、弊社オリジナルグッズ「東スポやけくそTシャツ」の発売にあたって、noteで制作秘話を書けと言われ入社試験ぶりに原稿(?)を書いています。4年目26歳の石井です。(総合制作部・石井綾乃)

左が私。同期の男の子と一緒にモデルを務めさせられました

整理記者とデザイナーの二刀流やってます

 普段私は編集局・総合制作部という部署で、整理記者という仕事をしつつ、社内デザイナー的な仕事もしています。いわゆる二刀流ですが、特にお給料がいいわけではありません。人事課の人や偉い人もこの記事を読んでいるかもしれないので、念のためもう一度書いておきますが、特にお給料がいいわけではありません。

それはさておき「整理記者ってなあに?」という方にご説明しますと、いわゆる「新聞のレイアウト」をするお仕事です。記者が書いた原稿を読み、カメラマンが撮ってきた写真を見て、文章と写真を「こんな感じにレイアウトするとかっこいいかな~」というイメージで組み上げていく、スポーツ新聞社の花形的ポジションです。東スポといえば「見出し」なイメージがありますが、紙面の見た目にもこだわっていて、とにかく「読者がクスっと喜ぶような新聞づくりを」をモットーに日々締め切りギリギリまで作業をしています。

早期希望退職後にやってきた深刻な人手不足

昨年の3月1日。朝の制作作業を終えてデスクでPCを立ち上げると、全社員向けに社長から一通のメールが届いていました。件名は…『希望退職募集について』。

 えっマジ?と思わず声を上げてしまうほどの衝撃でした。確かに昨今の新聞業界の状況はかなり厳しく、すでに同業他社でもリストラを行ったというニュースは耳にしていましたが、とうとううちの会社もその時がきたのか…とかなり暗い気持ちになりました。

 この一件によって、約80人の先輩社員が会社を去りました。「今までの古臭いメディアからの脱却&新しい東スポへ!」というテーマで再出発を期したわけですが…。ここで当たり前だけどめちゃめちゃ重大な問題点が浮き彫りになりました。

 それは絶望的な「人手不足」です。社員を減らしたはいいけどその分仕事自体はむしろ増えていて、制作部だけでも単純に1人頭で2倍から3倍の仕事量になっていました。通常の業務に加えて、「どげんかせんといかん分科会」が乱立し、会議のある日は2、3時間の勤務時間増加が当たり前に発生していました。

それに加えてあの超やっつけ〝ゲリラ採用〟です。もうね、ほんまにやる気あるんかと。なめてるんかという声も社内で聞こえたりして…。こんな感じで社内の雰囲気は日に日にギスギスしていきました。

東スポグッズを作ろうとなったはいいけれど…

そんな中、東スポ再生プロジェクトの一環で、ある企画が持ち上がります。それが今回の「東スポグッズ制作」のお話になるわけです。

きっかけは正直あまり覚えていないのですが、たしか私が参加している分科会(通称メディアラボ)の会議で、こんな話が上がったのが発端でした。

「てか、今までの東スポグッズってダサすぎたんじゃね?」

ロゴを置いただけ、1面を貼り付けただけ。確かに東スポはこれまでにデザイン性皆無のグッズばかりを作ってきました。宴会グッズ的なウケを狙ったのかもしれませんが、コロナ禍で大規模な宴会が行われるわけがありません。誰がいつ、どんな目的で作ったのかさえ社員間で共有されておらず、売り上げは推して知るべしです。

 そういうわけで、新たな「ちゃんとした」「街中で持っていても恥ずかしさを感じることがない」オリジナルグッズを作ろうという話になったのですが…。問題は、この業務に余裕のない状況で誰が担当するのか?ということ。この分科会の中で、デザイン的なものを取り扱えるのは私しかいませんでした。でも早起きして毎日新聞作るので精一杯だしな…。ここは息を殺して空気になるしかないと虚空を死んだ目で見つめていましたが、現実は甘くありませんでした。

静まり返った会議の場で、この分科会の副リーダー、東スポnote編集長の森中さんがまっすぐこちらを見て言いました。「石井ちゃん、何とかできない?」

こうして誠に不本意ながらやけくそTの開発が始まりました…。

完成後に浮かれておかしなポーズをする森中さん、他にやることはないのか

第1回報告会で、心が折れそうになりました

「なんかいい感じのTシャツを作る」という目的以外に何も決まっていないので、基本的に私がコンセプトやターゲットを一から考えなくてはいけません。恐ろしいことに本気の丸投げです。

 商品開発未経験なりにいろいろ考えて、1回目の報告会でこんな感じのデザイン案を提出しました。

ベーシックなロゴTと、激かわマスコットキャラのUFOちゃんです。やっぱり東スポといえばUFOだよね!ということで、ポップな表情をした基本的なUFOのボディに、いろんなものに変身可能の触覚を合体。かわいさの中にも弊社らしくひとかけらのキモさを加えた自信作です。

これを見た分科会リーダーの山下さんのコメントがこちら。

「ロゴT、なんかさみしくない?」
「UFOちゃんね~。普通だねw」

ちなみになんですけど、この会議の直前に「いやもうシンプルにロゴだけでいいんじゃない?」とアドバイスをくださったのがこの山下さんです。全然話が違くないですか???

ちょっと泣きそうになりましたが、力不足をしっかりと受け止め、次回までにデザイン案を練り直すことになりました。(それでも山下さんはTシャツ制作の話を上層部に通し、予算確保などしっかり動いてくれました!)

第2回報告会の直前で、ヤケクソになりました

 そして2週間後。14時から会議でしたが、資料が全然まとまりません。前回の会議から忙しすぎて、用意できた案が少なすぎるという非常事態に陥っていました。というか普通に考えて、大事な大事なオリジナルグッズの開発を本業の片手間でたったの2週間でやれって、けっこう無茶苦茶ですよね??弊社おじ、ちょっと感覚がエキセントリックだなって思います。

それはともかく最低あと1案は用意しないと、また山下さんから無慈悲なツッコミを受けること必至。残り時間はあと30分。ええいままよ!ということで生まれたのがこのイラストです。

東スポといえばUFOでしょ!という思いを捨てきれず、再度同じテーマで制作に臨みました。グレイ型宇宙人、UFO、ツチノコ、河童、ビッグフッドという未確認生物を代表する面々全部乗せは高カロリーでお腹一杯感も多少はありましたが…。なかなかいい感じになったのではないでしょうか。

ポイントはこの輪郭線。あえて大胆なライン取りをすることで、未確認生物の「確認できそうで確認できない」神秘性を表しています。決してただ焦って適当に描きなぐったわけではありません。

手描き感を活かした今までにないデザインで、これが通る可能性は全くの未知数でした。

ド緊張しながら会議で「これなんですけど…」と画像を共有すると、山下さんが一言。


「いいじゃん!これでいこう!」

「えっこれでいいんですか?」


描いた本人ですが、思わずツッコミを入れてしまいました。ほかにも色々と案を用意していましたが、結局通ったのはこのやけくそイラストのみ。平鍋編集局長のチェックも楽々突破して、あれよあれよという間にグッズ化が決定しました。

あっという間に、できました

 と、いうことで発案からデザイン決定、グッズ制作業者との打ち合わせ、すべてをひっくるめて約1か月半というすさまじいスピード感で商品化が実現しました。この、ある意味大胆でいろんなことをやれる環境というのが弊社の特長だと思います。

 それはともかくこの記事を読んだみなさま、どうかこの「東スポやけくそTシャツ」を買ってください。売上は新入社員獲得のための人件費に回して、新しくたくさん人を雇ってください。なにとぞ、なにとぞよろしくお願いします。

やけくそTシャツを強制着用させられた謎の新入社員研修
でもキラキラしている後輩たちが着ているのを見るとカワイイ

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