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あの号泣議員に負けじと謝罪会見の練習

 じわじわと、確実に、売れ始めているような気がしないでもないドキュメンタリー芸人・コラアゲンはいごうまん。東スポにおける〝実録連載〟を復刻しています。

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 謝罪会見は数あれど、僕的には2014の号泣議員を超えるインパクトはありません。なんせ会見の冒頭に「平常心を持って質問していただくよう」と〝ネタ振り〟した1時間後に「アーーーーーアッアーー」ですからね。笑いの基礎ができてますよ、ホンマに。

 あの会見が話題になった後、ボクも興味心でいろいろ調べました。そうしたら共同PRさんという会社が、正しい謝罪会見をレクチャーしていることが判明。今回は、そのプログラムを取材させてもらったときのお話です。

 貴重やったのは模擬謝罪会見の体験。万一、不祥事があった時に備えて起こり得る事件を想定して、PR会社の方が記者役となって攻めてくれますねん。

 ちなみに僕の不祥事はその時期ガチで起こした放送事故に決定。ネットで生配信していた僕の番組内で、あろうことかゲストであり所属していたワハハ本舗の演出家・喰始(たべ・はじめ)と大ゲンカになったんです。

 全然しゃべらせてくれないことに腹を立てた僕がスネて黙る。それに腹を立てた喰さんも黙り、結果、オッサン2人が黙っている姿を15秒世界に配信――についての謝罪会見です(どんなや)。

 まあ、始まる前はなごやかな雰囲気でした。そもそも番組での僕の大人げなさもさることながら、共同PRの皆さんが一番驚いたのは視聴者が4人だったという事実。「謝罪会見しなくても謝りに行けますよ」なんてイジリもしてくれたぐらいですから。しかし、そんな気さくな方々が模擬謝罪会見が始まると血に飢えた狼のように襲いかかってきました。

「確認させてください。あなたは45歳にもなってスネて黙ったってことでよろしいですか?」

「芸人に向いてないんじゃないですか?」

 中には「お母さんに悪いと思いませんか?」って…それ、関係ないやん。さらには「今回の一件で事務所内にあなたの居場所がもうないことはお気づきですか?」って、そうなん!? ダメ押しはこれ。「あなたはダメだ」。もはや質問ちゃうやん!

 ただ、見ず知らずの人たちに全人格を否定され、追い込まれた時、号泣議員の気持ちが少しだけ分かりました。終始平謝りに徹しましたが、心の中では「アーーーーーアッアーー」と号泣したのは言うまでもありません。あんな苦しい目に遭わぬよう、皆さん、気をつけましょう。

 コラアゲンはいごうまん 1969年生まれ。自ら体験した出会いやエピソードで観客に爆笑と感動を与える実録ノンフィクション芸人。お笑いライブに加えて企業、医療、学校等で講演活動中。著書に「実話芸人」(幻冬舎文庫)。

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