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【プロ野球】「野球バカとハサミは使いよう」山田隆道著

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“球春到来”に合わせ、2012~13年にかけて東スポ紙面連載された往年のプロ野球選手から処世術を学ぶコラムを復刻します。選手のエピソードから導かれる教訓は日々の生活に役立つこと間…
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百回の弁解よりも一回の行動【野球バカとハサミは使いよう#29】

獲得した勲章は色あせない 人間はなにか勲章を手にするためだけに仕事をしているわけではない。しかし、だからといって勲章を手にできそうなチャンスがあるのに、それを逃すのもおかしな話である。  これはプロ野球では個人タイトルのことだろう。タイトルのために野球をやっているわけではないが、チャンスがあるなら狙いにいくのが人情だ。  かつて1980~90年代にかけて広島の二塁手として活躍した正田耕三が、その良い見本だった。正田は身長170センチという小兵だったためか、入団当初は決して

社員寮は絶大な効果を発揮する!【野球バカとハサミは使いよう#17】

球団に勧告されるまで寮に住み続けた野口茂樹 人間とは基本的に自分に甘い生き物である。だからこそ、仕事で成功するためには自己管理が重要になってくる。  プロ野球選手もそうだ。例えば、かつて中日などで活躍した左腕投手・野口茂樹。彼もまた自己管理によって、選手生命を左右された一人だ。  野口は愛媛県の丹原高校から1992年に中日入りすると、4年目から一軍に定着し、6年目の98年には14勝を挙げ、最優秀防御率のタイトルを獲得した。高卒であることを考えると、順調なプロ人生だと言える

「ベンツと交換してほしい」と言われたほどの秘密メモ【野球バカとハサミは使いよう#12】

〝世界の代打男〟はクセを見抜く達人 今週から連載タイトルに「DX」の文字がついた。これはもちろんデラックス、すなわち本連載のリニューアルを意味している。連載開始から半年がたったところで、今後のさらなるパワーアップを誓ったわけだ。  さて、そんなリニューアル1発目に取り上げる野球人は元阪急の高井保弘である。1960~80年代に主に代打として活躍し、通算代打本塁打27本という今も不滅の世界記録を樹立した「世界の代打男」。入団当初のパ・リーグではまだ指名打者制度がなかったため、守

前例がないなら自分で作ればいいのだ【野球バカとハサミは使いよう#6】

地味ながら通算187勝、華麗なるサブマリンといえば… 球史に残るアンダースロー投手といえば、多くのプロ野球ファンは杉浦忠と山田久志を想起するだろう。1950~60年代の南海を支えた大エース・杉浦には59年に記録した年間38勝、日本シリーズ4連投4連勝など数々の伝説があり、一方、阪急を支えた山田にも3年連続MVPや12年連続開幕投手、通算284勝など輝かしい偉業の数々がつきまとう。  数字だけなら通算221勝の皆川睦雄(元南海)も並び称されておかしくないのだが、そこは人気商売