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【プロ野球】「野球バカとハサミは使いよう」山田隆道著

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“球春到来”に合わせ、2012~13年にかけて東スポ紙面連載された往年のプロ野球選手から処世術を学ぶコラムを復刻します。選手のエピソードから導かれる教訓は日々の生活に役立つこと間…
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#オリックスブルーウェーブ

ライバルの能力が上でも、そこで諦めてはいけない【野球バカとハサミは使いよう#21】

星野仙一監督が選んだ〝頑丈で従順な男〟 職場に自分と同じ業務を担当するライバルがいたとする。そして、そのライバルが自分よりも学があり、機転も利き、人に好かれそうな性格だった場合、多くの人は少なからずショックを受けるだろう。  プロ野球界でも1980年代中期~2000年代にかけて、中日などで長らく活躍した捕手・中村武志がそうだった。中村は84年のドラフト1位であり、その後も捕手として通算1955試合出場を記録するなど、一見すると順風満帆な野球人生だと思われがちだ。しかし、実際

早くトイレに行きたい!無欲で打ったら…ホームラン【野球バカとハサミは使いよう#14】

無心無欲が一番能力を発揮できる あらゆる仕事において、人間が最大の能力を発揮できるのはどんな局面か。日頃からの努力に加えて、体調や精神の管理も重要になってくるだろう。  その点について、1990年代にイチローらとともにオリックスで活躍した外国人選手、トロイ・ニールが見事な回答を示してくれた。ニールといえば、96年に本塁打王と打点王の2冠に輝いた左の長距離砲である。  彼が残した最大の伝説は、98年5月15日の対ダイエー戦だろう。試合前、オリックス・仰木彬監督はいつものよう

王貞治対策として試合で背面投げした男を覚えているか?【野球バカとハサミは使いよう#8】

球速120キロ台でも「生命線は直球」 蚊が止まるような遅いボールしか投げられないのに、なぜか打者を次々と抑えてしまう不思議な投手がいる。中でも印象に残っているのは1980~2000年代にかけて、主に阪急、オリックスなどで活躍した長身痩躯の左腕エース・星野伸之だ。  星野はストレートの球速が120キロ台ながら、80キロ台のスローカーブやフォークボールなどを駆使して、打者を幻惑する希代の“遅球王”だった。抑えられた打者のコメントも「今日の星野は一段と遅かった」「あれは高校生にし