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DIR EN GREY薫に直撃「何をしててもDIRに生かされるものを探しながら生きてる」【8000字インタビュー!】

世界的ロックバンドDIR EN GREYが3年9か月ぶりとなる11枚目の最新アルバム「PHALARIS」を6月にリリースした。リーダー・薫はインタビューでアルバムの制作過程などのエピソードや「この曲を仕上げている段階でアルバムの全体像が見えてきた」という曲「Schadenfreude」完成までを明かした。「常に新しいもの」を追い求めるバンドの制作の裏側とは――。(文化部・田才亮)

最新ツアーで感じた「なんかちゃんとこうハマってる感じ」

――アルバムリリース後のお気持ちは?

 まあ、無事発売できてよかったなっていうのがありますね。この6月からツアーがスタートして、この前初めて、アルバムリリース後のライブがあったんですけど、やっぱ発売前より反応が違ってましたね。曲をみんな知ってるっていう中で「なんかちゃんとこうハマってる感じ」がしましたね。

――前アルバム「The Insulated World」から3年9か月ぶりのリリース。制作はずっと続いてたと思うんですけれども、具体的に一気にアルバムを出して、ガーっと進め始めたっていうのは、いつぐらいからなんでしょうか?

 初めから流れでいくと、前作発売直後から、曲作りには入っていて。と同時に、まだ未完成の曲もたくさんある状態で去年まで来てて、去年の末ぐらいに、まあ、もうそろそろ曲を絞って、録音始めるかみたいな感じですかね。数曲をこうまとめ上げて、レコーディングを年明けから開始したんですけど、その辺りから「アルバムを本格的に仕上げていく」っていうモードになったと。

何曲か作ってきたものから、どれを入れていくかっていうのを少しずつこう曲を完成させて録って、みたいな感じで。ほんとに最後の曲が決まったの3月ぐらいだったと思うんですよね。

最後に完成した「Schadenfreude」は最初から1曲目だった

――その曲作りについて教えてください

 1曲目の「Schadenfreude」が最後にできあがるんですけど、それを「1曲目にするぞ」っていう気持ちで作っていました。

原曲は元々2曲、別であって。それを足した状態なんですけど、その作業をまあ、今年入ったころから始めたって感じですかね。これを1曲目にするぞという気持ちで進めてたぐらいから、自分はアルバムとかも「こういう感じになってくるかな」っていうのはあったんですけど、まあ、宙ぶらりんなものもあって、「Schadenfreude」を仕上げつつというのもあって。

メンバーみんなに「これを1曲目でどうかな」みたいな感じで提案して全体図が見えたっていうか。全体図が見えたのはほんと3月とか4月とかぐらいですね。まま、自分はちょっとその前からもやっともう見えてましたけど、全体的にはまあそれぐらいですかね。

本紙インタビューに応じる薫(21年6月)

――まさに「Schadenfreude」はディルの世界観もありながらも、もうどんどんどんどん引き込まれていくような感じがありました。この曲が決まって、アルバムの全体像が見えたって感じなのでしょうか?

 うーん、わからないですけど…まあ1曲目がなかったんですよね。決め手となる曲が。それで「Schadenfreude」を長い曲で仕上げてみようって進めながらも、その時まだ1曲決まってない曲があったんですよ。「響」という曲なんですけど。プリプロの時のアレンジからもうちょっと違うアレンジになれば、もしかしたら、アルバムの中のいいパーツになるんじゃないかっていうところで。「Schadenfreude」と「響」はほぼ同時期にやってたって感じですかね。

――「Schadenfreude」は薫さんの原曲ということなんですが、どういう思いがありますか?
 
 元々は「凄くどんよりして、暗い曲を作ろうかな」みたいなとこで、まず最初のデモを作ってて。でも「まあそれだけじゃ面白くないな」っていうところで「長尺の曲が欲しい」っていう話がメンバーからあった時に、真っ先に自分がその曲を思いついたんで、やってみようとなったんです。

――その過程はどうでしたか

 最初はなんかこうなるべく聞きやすいように、アレンジしようと思って、割となんかその今までにあったようなアレンジ? 長い曲は何曲かあるんですけど、そこに似て来るような感じになっちゃって。それじゃ面白くないなっていうので、なんか違うアレンジを考えてる時に、メンバーから「全体的に激しい感じにしてみたら?」みたいなのがあって。あ、なるほどなと思って、ちょっとこう豪快な感じに振り切った感じですね。

――サウンド面について意識した点は
 
 まあ音自体はね。低音があって、歪んでて。と変わらない感じに見えるんですけど、なるべく「楽器を弾いている人たちの空気感」っていうか。それを感じられるような。全体的に全部一緒の音にしてしまうよりかはその曲の「イメージしてる音になるべく近づける」というか。そういう意味では「割と余裕のある音をきれいに聴かせられる」ようなイメージですかね。そんなギチギチっていうよりかは、割とちょっと余裕があるように、というイメージですね。

――曲順は「一発ツモ」で決まったということですが

 そうですね(笑い)。一発でしたね。

薫とDieの原曲を合体させて生まれた「カムイ」

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