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テストステロンは元気の源!女性にも存在しています

 性は生なり! 私がいつも琵琶法師のように人間にとって大事だと言っている「テストステロン」ですが、最近はずいぶんメジャーになってきました。強力な男性ホルモンであるテストステロンは、男女問わず元気の源。「元気ホルモン」とか「幸せホルモン」とか呼ばれたりします。

 亡くなった男性医学の父と呼ばれていた泌尿器科医・熊本悦明(私の父でもあります)は「バラ色ホルモン」と言っていました。自らも70代から92歳で亡くなるまで、生涯テストステロン補充を続けていました。転倒が契機となった硬膜下血腫で旅立ちましたが、倒れる前日まで、私と仕事の打ち合わせをしていたのです。トイレにも自分で行っていたし、耳は遠いけど認知機能のテストも満点でクリアしていました。ある意味、本人の望んでいたピンコロの死に様は、テストステロンのおかげだったと私は確信しています。

 男性ホルモンと聞くと女性の方は自分には関係がないと思うかもしれませんが、女性にも存在しています。そもそも女性ホルモンがテストステロンを原料に作られています。特に閉経後に女性ホルモンが激減した女性の健康寿命を支えるのはテストステロン。このテストステロンまでもが枯渇すると、フレイル(虚弱)が加速して寝たきりになるリスクが高まります。

 40代以降の男性の悩みの多くも、またこの「元気ホルモン」の不足によって引き起こされるものです。症状も単に「元気がない」だけでなく、うつのように「外出がおっくうだ」「何をしても楽しくない」「何でも悪いほうに考えてしまう」といった無力感、不安感に襲われることもあります。もちろん女性への関心も湧きません。

筋トレするおじいさん(イラストはイメージ)

 しかも、この体調不良の症状は多岐にわたります。男性ホルモンが直接影響するED(勃起不全)だけでなく、よく眠れないといった睡眠障害、心筋梗塞などを引き起こす血管障害、内臓脂肪の増加、糖尿病、軽い物忘れも含めた認知症など、重大な疾病とも深く関係していることが、学会で発表される論文などから分かってきました。

 テストステロン不足は万病の元といっても過言ではありません。実際、テストステロン値が高い人のほうが長生きするということも分かっています。死ぬまで元気でやる気のある人生を送るためには、いかにテストステロンを維持するかがカギになることを再喝しておきます。

熊本美加(くまもと・みか)医療ライター。男性医学の父・熊本悦明の二女。男女更年期、性感染症の予防と啓発、性の健康についての記事を主に執筆。

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