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帯広にある伝説のソープに突撃した芸人は涙した

 復刻早々大好評!  自らの体験談を漫談にする唯一無二のドキュメンタリー芸人にして、「笑点」の春風亭一之輔からも高い評価を得ている「コラアゲンはいごうまん」の東スポコラム。何度読んでも面白いです。

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 北海道・帯広。飲み屋街の外れに場末のモーテルのように佇む「帯広コルト」という〝伝説のソープ〟がありました。情報提供者である帯広の知人いわく「受付にお婆ちゃんが座ってて、入浴料を払うと『じゃ部屋で待ってて。すぐに若い娘行かせるから』と言われる。期待して待っていると受付のお婆ちゃんが入ってくる。『チェンジッ!』と拒否すると、そそくさと出て行って今度はドレスアップして入ってくる…」。

 実録ノンフィクション芸人としては、まことしやかにささやかれるこの〝コルト伝説〟の真相を確かめんわけにはいかんでしょう。ただ、噂がガチならキツい。でも、ネタは欲しい…悩んだ結果、思い切って店の扉を開けました。

 受付を見ると、そこには菅井きん似のお婆ちゃん。噂通りや…とひるみつつ入浴料1万5000円を払うと「じゃ部屋で待ってて。すぐに若い娘行かせるから」。結論から言います。入ってきたのは菅井きんではなかった! もっと老婆やったんです! 噂以上かい!

 70代であろうその方はよろよろ歩いて前に倒れこむように「ひとみと申します」。どんな三つ指立てんねん。「申し訳ないけど、こら勃たんわ」と思いきや、世の中には豊富なキャリアに裏付けられた確かな技術ってあるんですね。行為に至る前にひとみさんのしわくちゃの手の中で僕は見事に果てました。その敗北感たるや…一方、ひとみさんはドヤ顔で「まだ何もしてないのに…」って、やかましわ!

 まあ、仕方がないのでお話でもすることに。「お仕事は?」と聞かれ、「芸人です」と答えると「楽しそうね」。でも、僕はすぐに否定しました。その前日だって、飲み屋でやったライブでヤジられ、なじられ、酔っ払いの肴になる悔しい思いをしてたんです。で、せきを切ったようにグチる僕にひとみさんが言いました。

「豊かな人生ね。年をとると悲しみの回避がうまくなる。でも悲しみのない人生は喜びもないの。あなただから感じられる喜びがある。頑張ってね」

 静かに泣いてもうたわ。何がいいって、ひとみさん、この深イイ話をチ〇コ拭きながらしてるのがいいんです。すっかり心を射抜かれた僕がメンバーズカードを作ったのは言うまでもありません。残念ながらこの店はもう存在しませんが…。

 ◆コラアゲンはいごうまん 1969年生まれ。自ら体験した出会いやエピソードで観客に爆笑と感動を与える実録ノンフィクション芸人。著書に「実話芸人」(幻冬舎文庫)。11月13日、横浜にぎわい座で「第二十回 コラアゲンはいごうまん・春風亭一之輔 二人会」を開催する。

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