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忘れられない〝会見はしご〟

 お疲れさまです。新入社員の塩崎皆人です。おかげさまで2回目のnoteを書くことになりましたが、前回の日影舘も言及した通り、熊木の記事をきっかけに同期一同かなり気が楽になりました。今回は文化部の仕事の一部である、会見・イベント取材の普段の様子について少し掘り下げながら、一番記憶に残っているある夏の日についてつらつらと書いてみようと思います。


そもそも会見で何をするの?

 文化部の記者が取材する会見って何?と思われるかもしれませんが、新人の我々はあまりお堅い記者会見には参加しません。もっぱら新商品の発表会や、「○○周年記念会見」といった、芸能人の方が登壇するイベントに足を運んでいます。

 詳細な説明はできませんが、夕方のニュース番組で、芸人さんもしくは俳優さんが商品の横で手を振っているところを見かけたら、大体そこに我々もいると思ってください。

 イベントの流れとしては、商品や企業にまつわる説明が行われた後、イメージキャラクターやアンバサダーを務める芸能人の方が登場し、トークセッションや何らかのコーナーが行われた後、撮影の時間が設けられて終了、といった感じです。さらに囲み取材が行われる場合には、イベント中に分からなかった部分を直接質問することもできます。

 また、多くの現場では写真部の社員の方に撮影をお願いしています。が、時折単独で向かう場合もあるので、その場合は素人なりにできる限りいい写真を撮ろうと努力しています。他のカメラマンの方々のゴツい望遠レンズに囲まれながら、「最善をつくすだけだ…」とちまちま撮影している時はなかなか心細いですし、終了後に写真部の方が少し離れた席にいたことを知った時の安心感はたまりません…。

メガシャキのイベントに登壇した稲村亜美さんを頑張って撮影しました(2023年8月)

 そんなこんなで会見を終えると、そのままカフェになだれ込んで記事を書き上げ、予定があればまた次の会見へ…というのが日頃の流れです。その後自分でアポを取った取材があればもちろんそちらにも向かいますし、全部が全部イベントや会見で埋まっていることはありません。ただ会見特有の、東京の地下鉄を乗り継いで最寄り駅に着き地上に出た時の「いろんな世界があるんだなぁ…」という感覚は、ふと気を抜くと一辺倒になってしまいがちな日々を支えてくれているような気がします。長ったらしく書きましたが、一言で表現すれば「東京歩き回れてちょい楽しい」ということでしょうかね。

始まりを目撃した最終選考会

 さて、都内各地で行われている会見を飛び回っている自分にとっても、忘れられない〝はしご〟があります。それは7月2日、「ジュノン・スーパーアイドル・コンテスト」の最終選考会と「中野サンプラザ クロージングセレモニー」の取材でした。

 まずは最終選考会について。「ジュノン」といえば「スーパーボーイ」という印象が強い方も多いと思いますし、成人してもちょこちょこ仮面ライダーを見ていた私にとってもその認識ではあったのですが…。今回は初の女性アイドルグループを選考するためのコンテストということで、15人のファイナリストがダンスとボーカルでしのぎを削りました。

 個人的にはファイナリストのアピールポイントが、今時のK-POPをほうふつとさせるスタイルから、昭和にさかのぼった王道スタイルまで多岐にわたっていた点がとても魅力的でした。ごくごく短い持ち時間の中で、「自分はこういうアイドルになりたいんだ!」という決意が伝わってきて、記者にはあるまじき感情かもしれませんが「報われてほしいな…」と思いながらパフォーマンスを拝見しました。

 最終的には10人のデビューが決定。笑顔で抱負を語る方もいれば、デビューできるという事実に感極まっている方もいて、アラサーに片足以上つっこんでいる自分はすっかり心が洗われた気分でした。その一方で、今回惜しくもメンバーに選出されなかったファイナリストの皆さんにも、まだまだ目の前には可能性にあふれた未来が広がっていて…。入社する前は気付かなかった芸能界の厳しさと、チャンスをつかみ取ろうとする若くて真っすぐなエネルギーを、真正面から浴びつづけた数時間でした。

最後の瞬間に立ち会った中野サンプラザ

 そんな〝始まり〟にあてられていた自分の次の現場は、なんと「中野サンプラザ」の閉館式。デビューを見た後にエンディングを見るなんて、とは思いましたが、これも立派な仕事の1つ。急いで夕食を済ませ、人生初のサンプラザに入りました。

 そうです、実は人生初のサンプラザ入館が、よりにもよって最終日だったんです。よく言えば新鮮な気持ちで取材することはできたのですが、裏を返せば「お前じゃないだろ!」と言われてしまいそうな話でもありまして…。

クロージングセレモニー終了後も別れを惜しむ人たち(カメラ=飯星睦夫)

 内心びくびくして向かった自分ですが、現地に到着すると思った以上にムードは穏やか。青春時代をサンプラザと過ごしたであろう方々が、外の広場で思い出話に花を咲かせたり、傾斜のついた独特な外観を静かに眺めたりしていました。

 いざ中に入ると、端々に懐かしさを感じさせる空間が広がっていました。エレベーターホール付近の落ち着いた空間は昭和感が満載ですし、吹き抜けになったエントランスホールも、構造物という構造物の輪郭が直線的で、出した声がそのまま返ってきそうでした。初めてのサンプラザに感動しきりの自分ではありましたが、地下にあった傘立てに忘れ去られた傘がたくさん刺さっていたのはさすがに切なかったですね…。
 
 また、最終日ということもあってホールでは山下達郎さんのコンサートが行われていました。終演時間を迎え、ぞろぞろと現れた観客の方々もやはり名残惜しいのか、ゆっくりとエントランスのドアをくぐっていましたね。徐々に人気も少なくなっていく中、サンプラザの職員の皆さんが「はい、チーズ!」ではなく「中野サンプラ、ザ~!」の掛け声で集合写真を撮り終わると、いよいよクロージングセレモニーが始まりました。

 一通り来賓の方々がコメントすると、スペシャルゲストとしてサンプラザ中野くんさんが登場。「10年ほど先輩の〝中野サンプラザさん〟にはいつも優しくしていただき、エンタメ業界を肩を組んで歩んできた、いや、駆け抜けてきた気がします」というコメントには、自身のルーツとの別れを惜しむ寂しさと、それでも明るく送り出そうというエンターテイナーとしての矜持を感じました。

 無事最後の式典が終わり、50年の歴史に幕を下ろした中野サンプラザ。実は記者の特権で、少しだけ中に残って記事を書かせていただいたりはしたのですが、最後はしっかりと警備員の方に挨拶をして帰りました。再開発に伴い、新たなビルが完成するのは2028年とのこと。それまでに記者として成長して、オープニングセレモニーをしっかり取材できたらうれしいですね。

芸能は続く、エンタメも続く

 結局1日でデビューとクロージングを目撃した私の記者生活が劇的に変わった、ということは全くないのですが… 現在進行形でエンタメの歴史を目の当たりにできていることに、最近は幸せを感じています。今後も多くの方がデビューして、多くの方が表舞台から離れていくことは間違いない訳で、これからも立ち会うことになるのだと思います。そんなときに今の文章力では表現できない独特な雰囲気を、何とか書き表せるような記者になりたいと思っている今日この頃です。

 といった感じで変に真面目ぶってしまって自分でも恥ずかしくなってしまったので、次の同期にバトンを渡します!お疲れさまでした!(文化部・塩崎皆人)

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