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パセリを吸ったらセブンスター

 じわじわと、確実に、売れ始めているような気がしないでもないドキュメンタリー芸人・コラアゲンはいごうまん。東スポにおける〝実録連載〟を復刻しています。

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 タバコをやめて17年になります。禁煙のきっかけは例のごとく所属していたワハハ本舗の演出家・喰始(たべ・はじめ)の指令でした。

 まずは禁煙パイポを試すも物足りなさの苛立ちからパイポを噛みちぎっては次のパイポをくわるという、ヘビースモーカーならぬヘビーパイパーに。見かねた喰さんが薬物の売人ばりにささやきました。

「煙が吸えて無害なモノあるよ」

 聞くと、パセリを乾燥させ、刻んで紙に巻いて火をつけて吸うと経験上タバコみたいな味がするねんて。ホンマかいな。というか、どんな経験や。他にもバラの花、紅茶の葉…いくつも候補が挙がり、しまいには「バナナの筋はキマるよ」…話変わってるやん。

 半信半疑ながら、レシピ通りパセリをオーブンで6分焼き、カッターで細かく刻み、次に煙草の葉っぱを全部ほじくり出して刻んだパセリを詰めて一服吸った瞬間、僕は叫びました。

「タバコやー!」

 マジでセブンスターの味がしますねん。

 しかし、この世紀の発見も素人の戯言と言われたらそれまで。そこでプロの意見を聞くべく虎ノ門のJT本社に乗りこみました。門前払いかと思いきや意外にも食いついていただき、応接室に通されます。体験芸人としていろいろやってきましたが、JT本社の応接室でJT広報部の方と〝さし〟でパセリ吸うことになるとは…。

 仲本工事似の広報部Mさん、一服つけると「セブンスターだ」。そしてこう続けました。「将来、低タールのセブンスターができたらこんな味になると思います」。後に低タールの「セブンスター・1」が販売されました。僕のパセリは、いわば「早すぎたセブンスター・1」だったわけですね。

 その後は、パセリにミントの葉を混ぜたらメンソールになるんやろか? 茄子の葉は? ほうれん草は? 開発に励みました。野菜を食べる人はたくさんいますが、野菜を吸った人は僕だけでしょう。これぞヘビースモーカーならぬヘビーベジター!?

 コラアゲンはいごうまん 1969年生まれ。自ら体験した出会いやエピソードで観客に爆笑と感動を与える実録ノンフィクション芸人。お笑いライブに加えて企業、医療、学校等で講演活動中。著書に「実話芸人」(幻冬舎文庫)。

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